埼玉新聞

 

生き返るはず…埼玉・ふじみ野立てこもり男、死亡した母親の心臓マッサージ依頼 医師に断られ散弾銃を発砲

  • 立てこもり現場付近を調べる県警の捜査員ら=29日午後1時すぎ、ふじみ野市大井武蔵野

 ふじみ野市の住宅で男(66)が立てこもり、医師鈴木純一さん(44)らが死傷した事件で、男が弔問に訪れた鈴木さんらに亡くなった母親の蘇生措置を頼み、断られると散弾銃を取り出して発砲していたことが30日分かった。

 捜査関係者によると、男の母親(92)が事件前日の26日午後に亡くなり、鈴木さんらが死亡を確認した。男は鈴木さんらを名指しで指定して「27日午後9時に焼香に来てほしい」と言い、母親が利用していた在宅クリニックの鈴木さんら関係者男女7人が自宅を訪れると、「生き返るはずだから心臓マッサージをしてほしい」「助かるはず」と頼んだ。

 死後1日以上が経過していたため、鈴木さんが丁寧に説明して断ると散弾銃を取り出して鈴木さんに発砲。理学療法士の男性(41)も撃ち、医療相談員の男性に催涙スプレーを噴射した。さらに別に医療相談員にも向けて発砲した。その際、催涙スプレーをかけられた医療相談員の男性が2丁あった散弾銃のうち1丁を取り上げて逃げた。

 男は、母親への蘇生措置の依頼の際は脅迫するような様子ではなく、頼むような感じだったが、断られると散弾銃を取り出した。鈴木さんへの発砲は母親が安置されていた1階の6畳の和室で、関係者7人が全員いる時だった。

 母親は他の医療機関での受け入れを断られており、鈴木さんが親身に対応していた。男は納得がいかないことにはクレームを浴びせることもあったという。司法解剖の結果、母親の死因は病死と特定された。医療過誤はないとみられている。

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