埼玉新聞

 

陛下、県内各地で県民と交流 「勇気づけられた」「お見舞いに感謝」加須・旧県立騎西高校に双葉町民ら慰問

  • 東日本大震災で、旧県立騎西高校に避難している双葉町民を励まされる天皇、皇后両陛下=2011年4月8日、加須市騎西

 天皇、皇后両陛下は埼玉県内各地を訪れ、県民と交流された。老舗旅館の社長は「温かな思いを下さった」と語り、東日本大震災の被災者は「勇気づけられた」と話した。退位を控えて「寂しい気持ち」としながら、県民からは「ありがとうございました」と感謝の声が上がっている。被爆地や沖縄からは敬意とともに「平和が続いてほしい」との願いがあふれた。

 天皇、皇后両陛下は2011(平成23)年4月8日、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の影響で、福島県双葉町民らが避難所として使用していた加須市の旧県立騎西高校を訪れ、被災者を慰問された。

 当時、避難所の自治会長をしていた加須市の幾田慎一さん(71)は「お言葉一つで本当に勇気づけられるのに、お顔を拝見できたのは一番の勇気になった。一つの光が見えたし、みんなで力を合わせて頑張ろうという気持ちになった。非常に人道的な方だと思った」と振り返る。

 退位については、「あの年齢で被災地を訪問したり、公務をするのには精神的にも心が痛むだろう。お疲れさまでしたと申し上げたい」と話した。その上で「訪問は被災地の人にとって心のよりどころになっている。次の天皇陛下にも引き継いでもらいたい」と願った。

 同校に避難していた、さいたま市南区の川出一郎さん(76)は「天皇陛下がお見舞いに来てくれたことは大変感謝している。あの頃はわれわれも来たばかりでどうしたらいいか分からなかったが、力をもらった。ありがとうございましたと言いたい」と語った。

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