2020年7月26日(日)

eスポーツをシニア世代に 認知症予防や健康増進に、さいたまの市民団体が活動 幅広い世代と交流も

月1回、ゲームを通じた交流で生きる力の醸成や「老いない」体づくりを目指している(協会提供、昨年撮影)

 若い世代を中心に広がるテレビゲーム対戦競技「eスポーツ」をシニア世代にも広げようと、さいたま市で市民団体が活動を続けている。eスポーツを通して認知症予防や高齢者の居場所づくりにつなげ、健康増進を図るのが主な狙い。幅広い世代と交流することもでき、「若者と同じ土俵で戦える」と意欲を燃やす参加者もいる。

 「最初は抵抗があったけど、今はゲームを通じて孫との交流も増えた」。今月上旬、さいたま市市民活動サポートセンター(同市浦和区)に高齢者が集まり、対戦ゲームに興じていた。テレビ画面の前で、真剣な表情を見せたり、声を上げて楽しんだり。皆、コントローラーを握り締めて熱中している。

 参加したのはeスポーツの普及を目指す「さいたま市民シルバーeスポーツ協会」の会員ら。60〜70代を中心に約40人が所属し、月に1回、対戦ゲームなどで親睦を深めている。

 「現在のシニア世代はeスポーツのパイオニアなんですよ」。森田孝会長(85)はそう話す。シニア世代の中には、1970〜80年代に流行し、電子ゲームの先駆けとなった「スペースインベーダー」に夢中になった人もいる。かつての感覚を思い起こし、ゲームが認知症予防や高齢者の居場所づくりにつながればという思いから、2018年に地元有志で協会を設立した。

 協会がシニア世代を対象にeスポーツ普及に取り組む最大の理由は「生きる力の醸成」だ。動画を見ながら5カ所程度のボタンを操作することで指先の運動になり、脳が活性化される。プレー中に起きるさまざまな局面でリアクションや会話も生まれ、身近にあるスマートフォンやゲーム機から共通の趣味を持つ世界中の人たちとつながることも。新たな出会いの創出や、「老いない」体づくりを目標の一つに掲げる。

 eスポーツ市場は、拡大傾向にある。KADOKAWAグループでゲームメディア事業などを展開するカドカワゲームリンケージによると、19年度の国内eスポーツ市場規模は61・2億円。大手企業の参入が相次ぎ、市場の伸長が続いているという。3年後には2倍近くになると予想されている。eスポーツファンも19年の483万人から、23年には1215万人まで増えると見込まれている。

 シニア世代の競技人口は「ほぼ皆無に近い」というが、それでも商業施設のゲームコーナーで高齢者がゲームを楽しむ姿を見掛けることもあり、「eスポーツに興味を示す高齢者も出てくるのではないか」と期待する。

 今後は大学と共同研究をしたり、市内10区対抗のシルバーeスポーツ大会の実施を目指すなど、シニア世代にeスポーツを浸透させていく方針だ。

 水野臣次事務総局長(63)は「eスポーツは若者世代と同じ土俵で戦えるスポーツ。気軽に楽しみながら、そろいのユニホームで対戦などができれば、シルバー世代からもeスポーツ熱が高まってくるのでは」と話した。

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