埼玉新聞

 

客から高評価、特攻隊描く「永遠の一秒」 芸術劇場で上演へ 多くの犠牲でつながる命「今やるべきことは」

  • 特攻隊となって命を失った若者たちを通して、命のつながりを描く舞台「永遠の一秒」。本番を前に連日、けいこが続けられている=さいたま市内

 「彼らは最後の1秒まで、立派に生き抜いた」。戦時中に特攻隊となって命を失った若者たちを描いた舞台「永遠の一秒」(畠山貴憲脚本・演出)が5月2日~6日、埼玉県さいたま市中央区の彩の国さいたま芸術劇場小ホールで上演される。戦後74年が経過し、元号が「令和」となる現代に語り継がなければならない戦争の虚しさと、命の尊さを描いている。

 「永遠の一秒」の舞台は終戦目前の1945年春の宮崎基地。特攻隊として陸上爆撃機「銀河」に乗り込み、米艦船を目指した若者3人が現代にタイムスリップし、残してきた74年後の戦友と恋人に再会する。戦争を振り返ることの辛さと、語り継ぐことを使命として生き抜いてきた戦争経験者たちの思いが、舞台で展開される。

 同作品は99年に初上演され、その後、十数回にわたって全国で再演されてきた。2015年の第27回池袋演劇祭で優秀賞を受賞し、再演のたびに多くの観客から高い評価を得ている。埼玉県内では昨年春に初公演し、3日間で千人を超す観客を集めた。

 「戦争で多くの命が失われていった中で今、私たちが生きているということは奇跡的なこと」と語る坂戸市出身の演出家畠山さんが訴えるテーマは"命のつながり"だ。「多くの犠牲の上でつながっている命を受け継いでいる私たちには、やるべきことがあるはず」と問い掛ける。戦時中の若者と現代社会のギャップを喜劇的に描くことでメッセージを浮き彫りにし、幅広い年齢層の心に響く作品になっている。

 星組・風組のダブルキャストになっており、公演日の昼・夜によって出演する組が異なる。指定席6千円、自由席は前売4500円、当日4800円。ネットからも購入できる。

 問い合わせは、アルコグランデ(電話048・711・1337)へ。

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