埼玉新聞

 

<新型コロナ>抗体カクテル療法、要件満たした医療機関の外来で 埼玉32人に投与、副反応なく順調

  • 抗体カクテル、観察体制など条件に外来で実施へ

 政府は25日、新型コロナ軽症患者向けの「抗体カクテル療法」について、観察体制確保など一定の要件を満たした医療機関の外来で投与する取り組みを進める方針を固めた。現在は入院患者のみに行われる同療法は、埼玉県では16日から、拠点病院で実施しており、重症化防止が期待される。

 抗体カクテル療法は軽症や中等症の新型コロナ患者のうち、基礎疾患があるなど重症化リスクが高い人が対象。「カシリビマブ」と「イムデビマブ」と呼ばれる2種類の抗体医薬品を混ぜて点滴し、ウイルスが人間の細胞に結合するのを防ぎ、体内でのウイルスの増殖を抑える効果がある。

 2種類の薬剤はいずれも新薬で、厚労省が7月19日に特例承認。対象を入院患者に限るとした。その後、同省は8月13日、対象を条件付きで拡大。自宅療養者がこの治療のため短期入院した場合などに限り使用できるとしていた。

 県によると、県内では16日から、酸素吸引が必要ない軽症者で、肥満や糖尿病など重症化リスクのある患者を対象に、拠点病院などで投与を開始。22日までの1週間で32人に投与された。副反応もなく経過は順調という。大野元裕知事は24日の定例会見で「まだ着手したばかりで治療の成果等評価は時期尚早かもしれないが、今後も重症防止に大いに期待する」と述べた。

 24日時点の県内確保病床使用率は70・7%(1240人/1753床)。そのうち重症病床は78・5%(164人/209床)で、病床の逼迫(ひっぱく)を防ぐため入院者、とりわけ重症者を出さない取り組みが求められている。

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