埼玉新聞

 

<高校野球>別格の浦和学院、埼玉大会で優勝 “二刀流”吉田匠が甲子園へ導く 輝かしい戦績を振り返る

  • 埼玉大会の勝敗結果

 第103回全国高校野球選手権埼玉大会は28日、県営大宮球場で決勝が行われ、春季県大会王者の浦和学院が昌平を10―4で退け、3年ぶり14度目の栄冠に輝いた。

 優勝した浦和学院は全国高校野球選手権大会(8月9~25日・甲子園)に出場する。

 浦和学院は一回1死一、三塁から吉田瑞の中犠飛で先制。二回には2死一、二塁で吉田匠が右越え3ランを放つ。その後は吉田瑞にも中前適時打が出て1点を加えた。三回には2死一、二塁から、吉田匠の三塁打で1点を追加。三回までに6得点奪い、試合の主導権を握った。七~九回にも吉田瑞の左前適時打や高松のソロ本塁打で加点し、計13安打で10得点を奪った。先発の宮城は3回被安打1で1失点。その後は金田、芳野、吉田匠の3投手の継投で逃げ切った。

 昌平は三回に寺山がチーム初安打となる中前適時打。6点ビハインドの六回には川田が左前2点適時打、続く七回には寺山が中前適時打を放つが、4得点止まり。先発田村が3回6失点と乱れた。

■“二刀流”吉田匠

 打っては右越え3ランを含む3安打、投げては3回無失点で胴上げ投手。“二刀流”の活躍で、3年ぶりの甲子園へ導いたのは吉田匠だ。「本当に本当にうれしい」。優勝が決まった瞬間、マウンドで雄たけびを上げ、うれし涙を流した。

 打者としては今大会ここまで主に1番を任され、19打数2安打。打率も1割をわずかに上回る程度で「チームに迷惑ばかりかけてきた」。自分自身に歯がゆさを感じつつ、臨んだ決勝戦。汚名返上の見せ場は二回表。1死一、三塁から前打者の八谷がスクイズを失敗し、重苦しい空気の中で初球を振り抜くと、打球はライトスタンドへ。「あの一振りでチームを勢いづけてくれた。しかし正直(今大会2安打の)彼が打つとは…」と森監督も驚く会心の3ランだ。

 快音はこの後も続く。三回には2死一、二塁から中越えの適時三塁打、八回にも二塁打を放ち3安打。単打が出ればサイクル安打を達成していた大暴れにも「全く意識していなかった」とクールに話す。

 投げては七回無死一、二塁のピンチで登板。準決勝まで打者55人に対し防御率0・00と圧巻の投球をここでも披露し、九回までリードを守り切った。昌平の最後の打者を2ゴロに抑えると、一塁ベンチからナインが駆け寄り「夢がかなった」。熱い思いが込み上げた。

 福島県いわき小名浜一中出身。親元を離れ、遠く離れた浦和学院の門をたたいたのは、厳しい環境で自分を高めたい思いから。心と技を磨き続け、埼玉王者の称号をつかみ取り、「浦学の名に恥じない野球、そして森監督に恩返しする」と視線を上げた。

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