埼玉新聞

 

<高校野球>昌平、粘り強くしたたかに初の決勝へ 立ちはだかる埼玉屈指の強豪、春の雪辱に選手ら燃える

  • 昌平―川口 7回表昌平2死二塁、後藤がチーム5点目となる中前適時打を放つ。捕手服部=県営大宮

  • 埼玉県大会5回戦以降の組み合わせ

 創部43年目の昌平が、夏2度目の準決勝挑戦で初となる決勝進出を決めた。3点リードも一打逆転サヨナラ負けの九回裏2死満塁。先発のエース田村が最後の打者を空振り三振に仕留めると、ナインは雄たけびを上げて歓喜。黒坂監督は「リードされても追い越し、最後まで粘り強く戦えた」とチームの歴史に新たな一歩を刻み、ほほ笑んだ。

 準々決勝までの5試合で計40得点と打ち勝ってきた昌平。この日も、計12安打と強力打線が本領を発揮して逆転勝ち。だが、大技だけではなく、小技と走塁を絡めた攻めがあったからこそ、白星をつかむことができた。

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 それが発揮されたのは、3―3の七回の攻撃だ。安打と相手守備の乱れで1死一、三塁の好機をつくり、打順は4番古賀。長打も狙える中軸だが、黒坂監督は「4番だろうが、送るところは送る」とスクイズを命じた。古賀は「バントの練習はしてきたから大丈夫」と、2ボール1ストライクから一塁へのスクイズを成功。ミスに乗じ、したたかに勝ち越した。

 後藤の適時打で1点加えると、極め付きは足で奪った3点目。2死一、三塁で一塁走者川田が二盗を仕掛けて挟まれる間に、三塁走者後藤が本塁を陥れた。「練習でやってきたことが発揮できた。あのプレーで士気が高まった」と黒坂監督。見事な走塁で、勝利を大きく手繰り寄せた。

 初の甲子園出場に王手を掛けた。最後に立ちはだかるのは、県内屈指の強豪浦和学院。今年の春季県大会準決勝で対戦し、一回に一挙6点を奪ったものの、延長十回で9―10でサヨナラ負けした因縁の相手でもある。春の雪辱に燃える選手たち。古賀は「いい形で決勝に臨める」と準備万端、大一番に挑む。

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