埼玉新聞

 

<高校野球>劇的勝利の山村学園、花咲徳栄に“マシンガン継投” 大事なのは「勝負師」ではなく「笑武獅」

  • 山村学園―花咲徳栄 9回裏山村学園2死三塁、松野が右前に適時打を放ち、サヨナラ勝ち。捕手味谷=県営大宮

 (埼玉大会22日5回戦・山村学園6―5花咲徳栄)

 九回表に4点差を追い付かれ、嫌な雰囲気の中で迎えたその裏の攻撃。諦めない山村学園に勝利の女神はほほ笑んだ。2死三塁から途中出場の松野が「狙っていた」低めのスライダーにうまく対応すると、打球は右前へ。劇的な幕切れに地鳴りのような大歓声が起こり、ナインは全身で喜びを爆発させた。

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 中学2年生以来のサヨナラ打を打った松野は「ようやく徳栄に勝った」。両手に残る感触をかみ締めた。

 2年前の埼玉大会決勝の再来。花咲徳栄の強力打線を相手に、左右の投手を順番に投入する“マシンガン継投”がピタリとはまった。八回までを1失点でしのぎ「細い柱も多く使えば太い柱になる。一人でなくみんなの力で抑える」と岡野監督は継投理由を話す。打線は花咲徳栄の先発高安と2番手堀越をじわりじわりと攻め、八回までに5得点。最終回に追い付かれたが、投打で持ち味を存分に発揮した。

 殊勲打松野の担任は岡野監督。6月のホームルームで2年前の決勝の映像を見せてもらい、「いつか徳栄を倒したい」。心の中でふつふつと闘志を湧き上がらせ挑んだ。チームスローガンは「勝負師」にかけて「笑武獅」。苦しい状況でも笑顔でプレーし、野球を心から楽しむ。「いつも通り笑ってプレーできた」と3安打の佐藤塁。絶対王者を撃破し、頂点まで一気に駆け上がる。

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