埼玉新聞

 

日本一長いけやき並木で伐採…埼玉県のシンボルに何が 大木化や倒木などが問題、望まれる計画的な維持管理

  • 伐採された「日本一長いけやき並木」のケヤキ。大木化、老木化や歩道の隆起など問題が顕在化し、適切な維持管理が求められている=5月2日、さいたま市桜区

 さいたま市浦和区のJR北浦和駅前から国道463号に沿って所沢市まで約17キロにわたって伸びる街路樹は、「日本一長いけやき並木」とされている。ところがこの並木でここ最近、伐採された切り株が見られるようになった。県のシンボルであるケヤキの木の並木に何が起こっているのか。

■2417本植栽

 県内に古くから自生するケヤキは1966(昭和41)年、県の木に指定された。JR北浦和駅西口の北浦和公園前に県が設置した案内板によると、「日本一長いけやき並木」は73(同48)年から78(同53)年にかけ、道路整備に合わせて2417本のケヤキが植えられた。県道路環境課、さいたま市道路環境課によると、現在も残るケヤキは、さいたま市内408本、その他県管轄約1400本で、植えられた当時の約4分の3となる計約1800本とみられる。

 ケヤキの本数が減ってしまった背景には、倒木の発生や道路の安全確保のための伐採が進んだことにある。県道路管理課によると、県管理の県内道路332路線中、246路線に4万7千本以上の高木が植えられている。街路樹の管理台帳はなく、多くは植栽後、30年以上が経過し、想定をはるかに超え成長して大木化、老木化したことで、交通安全の妨げや、根上がりによる歩道隆起、景観上の問題などが顕在化している。

■苦情や要望を優先

 突風などによる倒木の危険性も指摘される。2018年9月の台風21号では県内で48件の路上倒木が発生。さいたま市中央区鈴谷、JR南与野駅東側の国道463号では高さ10メートルを超える街路樹のケヤキが強風で倒れ、道路をふさいだ。表面からは分かりづらいものの、根の一部が腐っていた。

 同課によると、問題は顕在化しており、本来は適切な時期や頻度での剪定(せんてい)など、計画的維持管理が望まれるが、経費の上昇や予算が限られる中、現状は住民から寄せられる苦情や要望への対応を優先せざるを得ない状況という。

■街路樹マネジメント

 県は今年4月、樹木医や学識経験者らの意見を基にまとめた「県街路樹マネジメント方針」を策定。景観や環境、緑の木陰形成といった街路樹に求められる機能を発揮できるよう、今後を見据えた整備が進められることとなった。さいたま市道路環境課によると、市内の国道463号のケヤキは昨年度、21本を伐採。安全確保への取り組みが進められている。

 整備、維持管理に膨大な予算や時間、手間を要する街路樹だが、県の調査では駅周辺に公園や街路樹の緑がある市町村ほど、住民満足度が高いという結果も報告されている。

 県道路環境課の担当者は「県内の街路樹は本数が多く、どれを残し、どう整備するかは数十年の大事業。県民の合意形成が大切」と話した上で、県のシンボル「日本一長いけやき並木」については「なくなってしまうことはありません」としている。

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