埼玉新聞

 

<埼玉西武だより>窮地救った花咲徳栄出のニューヒーロー 豪快な打撃を披露、気持ちの面も大きく成長

  • ロッテ戦でヒーローインタビューを受ける埼玉西武の愛斗=9日、ZOZOマリンスタジアム(球団提供)

 ニューヒーローが窮地を救うシーンが再び見られた。9日、敵地で行われたロッテ戦。その前日に今季初めて1軍に合流した6年目の愛斗が、第1打席でプロ入り初本塁打。花咲徳栄高出の埼玉の星が放った待望の一発だったが、直後は冷静に、そして淡々と「いつも通りの打撃を意識した」と繰り返した。

 そして、今度は1点ビハインドで迎えた八回、1死一、三塁で打席に入った愛斗の意識は「ゴロでも1点を取る」。追い込まれてからは逆方向も視野に入れ、カーミニークフィールドで常々見せていた豪快な打撃を1軍の舞台でも披露。白球は瞬く間に右中間を破り、右翼席へと消えた。

 試合後行われたヒーローインタビューに呼ばれた愛斗は、まだあどけなかった2年前とは別人の「大人」だった。

 2019年4月25日、愛斗は同じZOZOマリンスタジアムで延長十回に勝ち越し二塁打を放ち、初のお立ち台を経験。当時は緊張と興奮が見て取るように分かる野球少年だった。

 その後、1軍と2軍を行き来し、メットライフドームでは思うような打撃ができないこともあった。昨年はファームでの守備時に負ったけがの影響で戦線離脱も経験するなど道のりは険しかったが、バットが振れない中で管理栄養士の指導の下、食生活により気を遣うなど、その時できることをやってきた。

 そして9日。スポットライトを全身に浴びた愛斗は「このまま打ち続けて、シーズン1年間通して戦えるようにやっていきたいです」と謙虚に先を見据えていた。

 「1軍と2軍の差はメンタルだと思います」。昨年の夏、愛斗はそう自分に言い聞かせるように言っていたが、気持ちの面でも大きく成長した24歳の若武者。この先もチームのピンチを救ってくれる気がする。

(埼玉西武ライオンズ広報部・田代裕大)

=埼玉新聞WEB版=

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