埼玉新聞

 

埼玉の公示地価、住宅地と商業地が8年ぶり下落 工業地はプラス 住宅地の上昇率、川口の堅調ぶり際立つ

  • 県内公示地価の価格上位10地点・上昇率上位10地点

 国土交通省は23日、2021年1月1日時点の県内公示地価を発表した。平均変動率は住宅地がマイナス0・6%、商業地がマイナス0・9%となり、共に13年以来8年ぶりに下落した。工業地は1・6%上昇し、8年連続のプラス。住宅地の市町村別平均変動率では57市町が下落した一方で、上昇率上位10位までの12地点(同率あり)中10地点を占めた川口市の堅調ぶりが際立った。工業地はコロナ禍のインターネット通販増加に伴う物流倉庫適地の需要増などを受け、全国7位の上昇率。7年連続で上昇していた商業地は186地点が下落し、全体の85%を占めた。不動産鑑定士の三田和巳氏は「新型コロナウイルス感染症の拡大による経済活動の停滞(が原因)といえる」と分析している。

 住宅地は継続調査した1029地点のうち上昇は95地点(9%)にとどまり、横ばいは153地点(15%)で、下落は781地点(76%)となった。市町村別平均変動率で上昇したのは、川口、戸田、蕨の3市のみ。1平方メートル当たりの最高価格地点は5年連続でさいたま市浦和区高砂2の2の6となり、97万9千円。上昇率のトップは3・2%の川口市並木1の7の38。

 JR西川口駅や川口駅周辺を中心に、川口市内の地点が上位に並んだことについて三田氏は「借り手や買い手はまずJR沿線で物件を探す。隣接する東京都北区と比べても価格水準がリーズナブルで、今後も需要が強い状態が続く可能性がある」とみている。

 さいたま市内は横ばいの浦和区以外の9区で下落。下落率は西区の1・6%が最も大きかった。1平方メートル当たりの価格は、県平均が12万9400円であるのに対し、同市の平均は20万6300円だった。

 商業地の上昇地点は、前年の130地点から7地点(3%)に大幅減。新型コロナの影響による中間事業者の物件の買い控えや廃業に伴う空き店舗の増加、賃料の減額などが要因とみられる。最高価格地点はさいたま市大宮区桜木町1の8の1で、1平方メートル当たり348万円で30年連続1位となったが、変動率は0・0%と横ばいだった。

 工業地は44地点中34地点で上昇。上昇率が4・3%で同率1位の川口市領家5の6の37は首都高、三郷市インター南1の3の4は外環道周辺に位置するなど、交通利便性が良好で都心に近い物流倉庫適地が上位に並んだ。

ツイート シェア シェア