埼玉新聞

 

コロナ禍、いろいろな気持ちがあっていいんだ 大宮で看護師が描く絵画展 大人、子どもの心に寄り添う

  • 作品「いろんなきもち だいじょうぶ。」

  • チアキさんと絵画展に展示されている作品=18日午後、さいたま市大宮区吉敷町の市立大宮図書館

 「いろんなきもち だいじょうぶ。ぷるすあるは絵画展&高次脳機能障害って?」が24日まで、埼玉県さいたま市立大宮図書館で開催されている。オンラインギャラリーも動画投稿サイト「ユーチューブ」で配信している。しんどい、怒り、イヤー、寂しい、まっいっか、頑張る、うれしい、安心ー。目に見えない心の中はさまざま。主催者は展示を通して「コロナ禍でいろいろな気持ちがあっていいんだと思ってもらえれば」と話している。

 企画展は、さいたま市高次脳機能障害者支援センターと精神疾患や心の不調を抱えた親とその子どもを応援しているNPO法人「ぷるすあるは」(同市中央区、北野陽子代表理事)の共催事業。ぷるすあるはのチアキ=細尾ちあき=さん(46)がアクリル絵の具やペンで描いた作品を展示している。

 看護師でもあるチアキさんは、多くの子どもたちと関わってきた。子どもたちの気持ちを表情や色彩で表現しているという。「いろんなきもち だいじょうぶ。」は、絵画展のチラシに使われた作品。「いろんな気持ちを描いたら、かわいいと思って描いた。コロナ禍でも、ネガティブな気持ちもポジティブな気持ちも同居していていいんじゃないかと思った」と話す。

 新型コロナウイルスの感染拡大で緊急事態宣言が再発令された。「今は頑張りどころとされているが、子どもたちは不安、心配、嫌だなーと思ったり、頑張ろうと思ったり。前向きに見える子も、前向きな気持ちと後ろ向きな気持ちの両方がある。人間だから当たり前だよということが伝わるといいなと思う」

 大人の不安が子どもに伝染している可能性もあるという。チアキさんは「コロナ禍のちょっと窮屈な世界。大人こそ、しんどいと思う気持ちをないことにしないで、『しんどいよね』と子どもに共感してあげられることが必要。大人こそ見てほしい」と話していた。

 会場は大宮区役所1階の同図書館展示スペース。チアキさんの絵画6点のほか、交通事故や病気で脳が損傷を受けた後に起きる高次脳機能障害の特集、心や生活・経済問題、児童虐待、いじめなど市の相談窓口一覧が展示されている。

 入場無料。午前9時~午後7時(最終日は午後6時)まで。緊急事態宣言を受けて、リアル展示は大幅に縮小し、オンラインギャラリーは、チアキさんの作品30点以上や絵本の原画などを配信している。

 問い合わせは、同センター(電話048・646・3125)へ。

ツイート シェア シェア