埼玉新聞

 

農家レストランに期待、伊奈で新規就農者らがオープン 「お肉とお野菜のお惣菜お弁当」などお持ち帰りも

  • 自社の畑で作った野菜をふんだんに使ったランチメニューを手にする大橋一幸さん(左)と影山幹さん=伊奈町小室「ベジボーイキッチン」

 埼玉県伊奈町で非農家出身では初の新規就農者らが集まり、昨年11月に農家レストランをオープンした。季節の野菜を収穫し、オリジナルのメニューとして提供する「VEGEBOY KITCHIN(ベジボーイキッチン)」。新規就農者の経営安定や定着化に弾みが付くと町は歓迎している。緊急事態宣言を受け、テークアウトにも力を入れている。

 代表の大橋一幸さん(34)は伊奈町の会社員家庭の出身。高校卒業後、県農業大学校で学び、伊奈町の「農業次世代人材投資資金」を活用して8年前、仲間とともに「ベジタブルボーイカンパニー」を設立した。伊奈町と蓮田市に約8ヘクタールの作付面積を持ち、約100種類の野菜や米を生産、直売所「まんぼうマルシェ」などで販売している。

 「農業は仕事というよりも生き方。もちろん、目指すのはG(グローバル)ギャップ。でもマニュアルのない難しさがある」と大橋さんは話す。グローバルギャップとは、持続可能な農業生産工程の国際的な基準。認証は世界共通ブランドとして評価される。

 大橋さんの農業は少量多品目。高価な機械を導入する投資は難しく、大量生産には向かない。「農業をビジネスとして成り立たせるにはどうしたらいいのか」と常に悩んでいた。

 そんなときに出会ったのが現在ベジボーイキッチンの店長を務める影山幹さん(39)だ。6年ほど前、伊奈町に越して来た影山さんは、新鮮な野菜が当たり前のように食べられることに驚いたという。「この野菜を使って何かできないか」と考え、勤めていた飲食関係の会社を退職、手作り弁当店を開業した。その店で使っていたのがベジタブルボーイの野菜だった。

 今回、「お客さんにいろいろな野菜を食べてもらいたい」という大橋さんの思いを可能にするため、スタッフとして加わった。

 影山さんは「どんな野菜で何を作るか楽しく考えている。でもメニューはあまり難しくしたくない。お客さんが、この野菜ってこんな風にして食べられるんだって思ってもらえるよう、家庭に寄り添っていきたい」と話す。

 ランチで使われる野菜の種類は15種以上。「季節が見えるメニュー構成」にしている。緊急事態宣言後は感染防止を徹底した上でランチのみの営業とし、レストラン開店時間は午前11時~午後3時。惣菜や弁当のテークアウトは午後7時まで。主なメニューは「お肉とお野菜のお惣菜お弁当」(1080円)など。月曜と第2、4火曜日定休。

 問い合わせは、ベジボーイキッチン(電話050・1494・8473)へ。

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