埼玉新聞

 

大河ドラマで食べるシーンを期待 渋沢栄一が愛した煮ぼうとうを全国区に 深谷の有志らが普及活動

  • 渋沢栄一が愛した郷土料理「煮ぼうとう」を作る武州煮ぼうとう研究会の根岸祥次会長=深谷市役所新庁舎前

 渋沢栄一は、帰郷すると昔ながらの郷土料理「煮ぼうとう」をよく食べていたと言われている。幅広の麺(約2・5センチ)と、特産の深谷ねぎ、地場野菜の根菜類などを使い、つゆの味はしょうゆベース。打ち粉の付いた生麺から煮込むため、適度なとろみがあるのが特徴だ。深谷では、渋沢栄一の命日の11月11日に煮ぼうとうを食べて遺徳をしのぶ慣わしがあり、市民有志でつくる「武州煮ぼうとう研究会」も熱心に普及活動を続けている。

 「武州煮ぼうとう研究会」は2003年発足。発起人で11年間会長を務めた小林仲治さん(74)から14年に会長を引き継いだ深谷市内ケ島の根岸祥次さん(72)は「渋沢栄一が愛した煮ぼうとうに愛着を感じている。もっと普及させたい」と意気込む。

 初代会長の小林さんは同市稲荷町で酒店「よね源」を営む。2代目会長の根岸さんは同市横瀬にある丸山酒造で工場長をしている。「酒が縁でつながっている感じもする」と根岸さん。ちなみに根岸さんの趣味は酒造史の研究と料理作り。煮ぼうとう作りでは酒粕を隠し味にすることも。

 発足の5、6年前に行われた京都府舞鶴市と広島県呉市の肉じゃが味対決に触発され、有名な山梨県の郷土料理・ほうとうと味比べ対決をしようという案が浮上。「県北を中心に食べられている煮ぼうとうを全国区にしよう」と有志が集まった。

 発足初年の10月に埼玉国体プレ大会が熊谷スポーツ文化公園で開かれ、選手たちに煮ぼうとうを振る舞った。11月には山梨県甲府市の昇仙峡ほうとう会館と深谷市産業祭で味比べ対決が実現。初戦の味比べはほうとうに惜敗、翌年の深谷市産業祭では群馬県伊勢崎市のおきりこみに優勝をさらわれた。

 だが、そこから煮ぼうとうの逆襲が始まる。後に「N―1GP(エヌ・ワン・グランプリ)」と改名された味比べで「3年目からは10連覇し、評判を呼んだ。渋沢さんのおかげもあって、全国区になった感がある」と根岸さんは懐かしむ。

 07年11月11日に行田市産業文化会館前で開かれた第1回埼玉B級ご当地グルメ王決定戦でも「初代王者」に輝いた。11月11日は栄一の命日。深谷では栄一をしのんで煮ぼうとうを食べる「煮ぼうとう会(え)」が八基公民館などで開かれている。メモリアルデーを飾った形だ。

 食のイベントでは、市内の製麺会社「新吉」と「岡本製麺」に協力してもらっている。2020年の11月11日は深谷市役所新庁舎前で、来庁者に煮ぼうとうを振る舞った。「渋沢さんと一緒にアピールできた」と根岸さん。栄一が新一万円札の肖像に決まったことも追い風に感じている。

 根岸さんは「研究会の食イベントが、全国各地の食イベント開催のきっかけになったと自負している。これからも影響を与え続けたい」と語り、NHK大河ドラマ「青天を衝(つ)け」に「ぜひ煮ぼうとうを食べるシーンを入れてほしい」と期待を寄せた。

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