埼玉新聞

 

結婚への関心、コロナで高まったか 県の婚活支援事業、会員が急増 脚光浴びるAI婚活、運命の相手は

  • 本人確認のため来所した女性(右)に今後の流れを説明するSAITAMA出会いサポートセンターの相談員=12月23日、さいたま市内

 埼玉県が手掛ける婚活支援事業「SAITAMA出会いサポートセンター(恋たま)」の会員が12月の1カ月間で千人以上増えている。人工知能(AI)を活用して相性の良い人を探すのが特徴の同事業。政府が来年度から自治体の婚活支援事業を後押しするとの報道がきっかけだが、その背景には長引くコロナ禍で結婚への意識の高まりがあるようだ。

 脚光を浴びるAI婚活は、運命の赤い糸を見つける新たな手段になり得るのかとの関心から、12月下旬、さいたま市内のサポートセンターを訪れた。相談員の綾田貴子さんが「テレビのニュースを見て、人が殺到してるんです」と、出迎えてくれた。

 県少子政策課によると、2015年の国勢調査で、県内の「50歳時未婚率」は男性24・8%、女性は13%で、1990年から右肩上がりで上昇。出会いの機会を提供し、少子化対策につなげようと、18年10月、恋たまを立ち上げた。さいたま市、本庄市、坂戸市の3カ所にセンターがあり、県、市町村、企業でつくる運営協議会が運営。20年11月末時点で会員は4550人。年齢層は30代の男女が多く、県内在住・在勤が9割を占める。

 県が導入したAIによる婚活システム「EQアセスメント」は、婚活・ブライダルサービス企業の「タメニー」が開発。112の質問に回答すると、自分やパートナーに求める価値観が浮かび上がる。結婚したカップルのデータを学習したAIが「Aの価値観を持つ人とBの価値観を持つ人はうまくいく」などと診断し、相性の良い相手を選び出す仕組みだ。情報はスマホに配信され、お互い会いたいと思えば「お見合い」に進む。

 デモ体験してみると、「自分には人並み以上の知力がある」と「仲間とは一緒に楽しい時間を過ごす」を比較し、当てはまる方を選ぶという意表を突く質問ばかり。結果、記者が相手に求める価値観の1位は「困っている人を助けること」だった。知らなかった自分を指摘され、AIが導き出す「運命の相手」に興味が湧く。

 これまでに結婚の意思を固めたカップルは74組(12月28日現在)で、うち34組がAIによるマッチング。会員からは「自分じゃ絶対に選ばない人だった。でも最初から会話が弾んだ」との声が上がっているという。綾田さんは「AI婚活は『福袋』のようなもの。普段の選択では巡り会えない意外性が特徴」と話す。

 月150人ペースで増えてきた会員が、12月で一気に千人以上増加し、5500人を超える見通しだ。県少子政策課の吉田賢一主査(38)は「AI婚活への期待、それに加え、人と会うことがコロナ禍で難しくなり、結婚への関心が高まっている」と分析。センターを訪れた会社員女性(47)も「自宅で一人でいる時間が増え、人生をいろいろ考えた。内向的な性格なのでAI婚活は向いてるかも」と話す。

 利用登録料は2年間で1万6千円。センターの問い合わせは(電話048・789・7721)。1月6日から開所。

ツイート シェア シェア