埼玉新聞

 

冬空に放つ火縄銃、駆ける御神馬 小鹿野で「鉄砲まつり」 お立ち神事は4年ぶり 小学生が歌舞伎披露も

  • 銃声と硝煙に包まれる中、参道を駆け上がる御神馬=10日午後4時半ごろ、埼玉県小鹿野町飯田の飯田八幡神社

    銃声と硝煙に包まれる中、参道を駆け上がる御神馬=10日午後4時半ごろ、埼玉県小鹿野町飯田の飯田八幡神社

  • 張り出し舞台の屋台で「白浪五人男」を熱演する町立三田川小6年生=10日午後1時ごろ、埼玉県小鹿野町飯田の飯田八幡神社

    張り出し舞台の屋台で「白浪五人男」を熱演する町立三田川小6年生=10日午後1時ごろ、埼玉県小鹿野町飯田の飯田八幡神社

  • 銃声と硝煙に包まれる中、参道を駆け上がる御神馬=10日午後4時半ごろ、埼玉県小鹿野町飯田の飯田八幡神社
  • 張り出し舞台の屋台で「白浪五人男」を熱演する町立三田川小6年生=10日午後1時ごろ、埼玉県小鹿野町飯田の飯田八幡神社

 埼玉県小鹿野町飯田の飯田八幡神社例大祭「鉄砲まつり」(県指定無形民俗文化財)の「お立ち神事」(銃火奉納)が10日、同神社で4年ぶりに行われた。氏子らによる大名行列や、御神馬2頭が参道を通過すると、空砲奉納者が冬空に向けて火縄銃を放ち、ごう音を境内に響かせた。

 江戸時代に豊猟祈願や猟師の試し撃ちのために始まったといわれ、現在は狩猟の安全などを祈願する。今年は同神社火縄銃空砲奉納保存会と寄居町の「鉢形城三鱗会・鉢形城鉄砲衆」の会員が火縄銃計34丁を奉納。銃声と硝煙に包まれる中、御神馬が本殿への石段15段を駆け上がると大歓声が上がった。

 神事前には、張り出し舞台の屋台で、町立三田川小学校(桜井隆夫校長、児童30人)の6年生が「白浪五人男 稲瀬川勢揃(そろ)いの場」を、上飯田若連歌舞伎が「菅原伝授手習鑑 吉田社頭車引之場」の歌舞伎を熱演し、見物客から惜しみない拍手が送られた。

 同校6年生は、総合的な学習の時間に大歌舞伎や小鹿野歌舞伎について学び、10月から小鹿野歌舞伎保存会上飯田部会に歌舞伎の所作を教わってきた。化粧を施し、かれんな衣装をまとった児童たちは、屋台の花道からさっそうと登場し、堂々の立ち居振る舞いで魅了した。

 日本駄右衛門を演じた犬木牧徳さん(11)は「鉄砲まつりの大舞台に上がるのをずっと楽しみにしていた。練習の成果が発揮できて、大満足」と満面の笑みを浮かべた。

 中学3年から40代の8人で構成する上飯田若連歌舞伎の舞台で、梅王丸を演じ切った中学3年の村上快さん(15)は、三田川小の卒業生。自身が6年生の時は、コロナ禍の影響で鉄砲まつりは開催されず、体育館で関係者のみに公開した。

 「あの時は、せりふをたくさん間違えて、ぼろぼろだった」と、小学校時代を振り返る村上さん。今回の舞台では迫真の演技を披露し、地元の仲間に成長した姿を見せた。

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