埼玉新聞

 

天国の9歳娘が教えてくれた「人つなぐ大事さ」 受け継ぐ親子に200人超賛同 マスク支援実現、喜びの声

  • 町内13福祉施設にマスクを届けた中村寿さん家族

 寄居町藤田の会社員中村寿さん(40)が、町内の障害者や高齢者など13福祉施設にマスク計約千枚を家族と一緒に届けた。亡き娘を思い、困っている人々を助けようと、知人や会社の仲間、先輩後輩など108人に呼び掛けて収集。7月の豪雨被害に見舞われた被災地にも送った。

 中村さんの長女で脳性まひの美結さんは2016年2月に9歳で亡くなった。新型コロナウイルスの影響で福祉施設でマスクが不足している現状を知った中村さんは、美結さんの友達を助けようと、携帯電話に登録されている108人にメールで支援を求めた。それを読んだ人たちの協力もあり、200人以上から1350枚を超えるマスクが集まった。

 「娘は人を結ぶことを残してくれた」と中村さん。人とのつながりを大事にしたいと、美結さんの弟の清春君(10)、風雅君(6)、桃舞君(5)と、美結さんの遺影写真を持って各施設を回った。マスク提供者には施設関係者が喜ぶ様子を動画配信。7月の集中豪雨で被害を受けた熊本県庁、山形県大石田町にもマスクを送った。

 清治君は「コロナに感染してもらいたくない。世界をより良くしたい」とマスクを届けた。中村さんも「現場で活躍しているのは皆さんのマスク。これも美結ちゃんのおかげです」と話した。

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