埼玉新聞

 

<埼玉西武だより>示したエースの気概 1軍投手コーチ・西口文也、生きのいい若手投手陣に期待

  • 埼玉西武の1軍投手コーチとして先発陣に期待を込める西口文也(球団提供)

 3連覇のキーマンを聞かれ、「先発陣です」と即答したのは、1軍投手コーチの西口文也。「先発がどれだけゲームをつくることができるか(が鍵)」と眼光鋭い。(埼玉西武ライオンズ広報部・田代裕大)

 1990年代後半からエースとして、チームを引っ張ってきた。自身にとって初めて優勝を経験した97年はまさにスクランブル登板の連続で、勝利に貢献し続けた。

 チームは9月中旬、当時2連覇中の2位オリックスに4・5ゲーム差をつけて敵地・神戸に乗り込んだ。「あの時、台風が接近していたので、東尾監督から中継ぎで待機してほしいと言われた」

 だが、予報に反し台風は停滞。結局3連戦が行われ、西口はその中で2連投した。救援で3イニングス投げた翌日、「まさかないよな…」と思った矢先、ブルペンの電話が鳴り、投手コーチから「今日も行けるか?」。西口は六回から4イニングスを投げ切り、リードを保って試合を締めた。これでオリックスにとどめを刺し、リーグ優勝を果たしたのだった。

 翌98年は開幕から不調が続き、1勝6敗と負けが先行。救援にも回るなど苦しい時期が続いた。追い打ちをかけたのが森(繁和)投手コーチの2軍降格だった。

 「投手陣が悪かったから。自分が成績を残せていなかったからと捉えましたね。何としても結果を残さないといけない」

 西口は奮起した。その後、2戦連続で完封勝利を収めると、いつもの姿を取り戻し、終わってみれば13勝。2年連続最多勝とV2を達成した。

 先発でも中継ぎでも、正念場で打者をねじ伏せてきた西口。「エースとは『大事な試合だからおまえが行ってくれ』と言われる存在。ローテを守ることは必須です。6人全員がそれをできるのであれば、全員がエースだと思えばいい」。成し遂げることができなかったV3、そして日本一に導くため、生きのいい若手投手陣に期待を込める。

ツイート シェア シェア