埼玉新聞

 

ひったくり容疑者を車で追跡、逮捕に貢献 東入間署、ふじみ野市職員に感謝状 10年前にも目撃…その時は

  • 感謝状を受け取ったふじみ野市役所職員の菊池将昭さん(左)と東入間署の小笠原正男署長=東入間署

 ひったくり事件を目撃した後、被害者を車に乗せて容疑者を追跡し逮捕に貢献したとして、東入間署は、ふじみ野市職員の菊池将昭さん(46)に感謝状を贈った。

 同署によると、ひったくり事件は1月30日午後2時ごろ、同市役所近くの路上で発生。同市の女性(72)が自転車で横断歩道を渡ろうとしていたところ、背後から徒歩で近づいてきた男に追い抜きざまに自転車の前かごから現金1万8千円などが入ったかばんをひったくられた。

 菊池さんは公用車を運転中に事件を目撃。すぐに車の助手席のドアを開け女性に「乗りますか」と声を掛け、女性を車に乗せて男の追跡を開始。先回りして男の行く手を遮った。

 菊池さんは「止まれ」と声を掛けたが無視して歩き続けていたことから、再び「待て」と声を掛けたところ、男は折り畳みナイフを構えたという。菊池さんは近づくと刺激を与えるかも知れないと思い距離を取って「取ったものを出せ」と声を掛けた。男は近くのアパートの物陰に隠してあった女性のかばんを差し出してきたという。

 その後110番を受けた警察官が現場に到着し、男は確保された。ひったくりの現場を目撃してから警察官が男を確保するまでは約10分間の出来事だったという。

 菊池さんは父親が警視庁の警察官で「弱い方をいたわるということは言葉で教えられてきた」と話す。また10年ほど前にもひったくり事件を目撃したことがあり「その時は相手はバイクで私は徒歩。何もできなかったという思いが今回とっさに出たのかもしれない。被害者にも周囲の方にもけががなくて本当によかった」と振り返っていた。

 小笠原正男署長は「1人で犯人を追い掛けるのは勇気のいること」と感謝していた。

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