埼玉新聞

 

<新型コロナ>感染症対策の財源確保へ事業見直し 県の対応を検証 今後に備え、県政運営の方針示す

  • 県庁=さいたま市浦和区高砂

 県の新型コロナウイルス感染症への対応を検証する県議会の新型コロナウイルス感染症対策特別委員会は29日、第1回審査が行われた。県執行部からは、事業見直しで財源を確保するなど、今後に備えた県政運営の方針が示された。今後は分野別に課題や改善点が審査され、9月定例会に向けて提言をまとめる。

 6月定例会で設置が決まった特別委。県執行部からは2月に県内で初めての感染者が確認されて以降、社会への協力要請や中小企業への支援、学校教育、国への要望などを巡り県がどのように取り組んできたのかが説明された。

 県新型コロナウイルス対策本部会議と県新型感染症専門家会議についても小康期・拡大期からこれまでに至る開催実績が紹介された。

 出席委員からは「中小企業・個人事業主支援金」について「対象ではない事業者に給付される例もあった」として、制度設計に問題があったのではないかとする指摘のほか、自宅療養中だった患者の死亡事例は「個人情報を伏せる一方で、軽症でも容体が急変する事例があったという情報については県民に知らせるべきだったのではないか」といった指摘もあった。

 執行部は無症状・軽症者が療養するホテルの確保状況について、現行の4施設522室の契約を更新したことに加え、新たに6施設703室の内諾を得て、地元や事業者との調整が進んでいると回答した。

 今後の感染拡大の可能性に向けた県独自の財源確保には、基金の活用ほかに「歳入だけでなく、歳出でも必要性、緊急性の観点から事業の選択と集中により歳出削減を図り、財源を確保する」と歳出を見直し、非常時に備えた県政運営を進めるとした。

 初日の質疑を終えた小島信昭委員長(自民)は記者団に「執行部は県民の命を守るために非常に努力している」とした上で「県民からさまざまな角度の要望や提案が寄せられている。感染再拡大期にある今、当面の県の執行体制を整備し、実効性のあるものとしたい」と述べた。

 特別委は第2回審査を8月25日に行う。

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