埼玉新聞

 

異色の二刀流! 僧侶が美声披露「お寺DEオペラ」 境内で縁日、スマートボールも 桶川の浄念寺でお十夜

  • お十夜で見事なテノールを披露するオペラ歌手で僧侶の油谷充恩さん=埼玉県桶川市南の浄念寺本堂

    お十夜で見事なテノールを披露するオペラ歌手で僧侶の油谷充恩さん=埼玉県桶川市南の浄念寺本堂

  • お十夜で見事なテノールを披露するオペラ歌手で僧侶の油谷充恩さん=埼玉県桶川市南の浄念寺本堂

 埼玉県桶川市の寺院「浄念寺」で22日、お十夜の法要が行われ、境内では地域住民や子どもたちが楽しめる縁日が、本堂では「お寺DEオペラ」が開催された。オペラ歌手で福島県喜多方市の長泉寺住職でもある油谷充恩さん(51)が美しい歌声を披露した。

 お十夜とは、十日十夜を略したもので、もともとは旧暦の10月5日の夜から15日の朝までの10日間、昼夜を問わず不断に念仏を唱える法要。現在では10月から11月にかけて行われる秋の念仏行事になっている。浄念寺では「開かれたお寺」を目指し、10年前から地域の人や子どもたちが楽しめるイベントとしてお十夜を開催している。

 縁日は、八雲会子どもはやしでにぎやかにスタート。お寺からは天然氷のかき氷が振る舞われ、魚釣りやボーリング、射的などのゲームに大人も子どもも参加してはしゃいだ。桶川小6年の内藤珀瑠さん(11)は「すごく楽しい。おはやしで太鼓をたたけた」とうれしそうだった。

 今年初めて登場した南1丁目町内会のブースは、市内のたちばな商店会から借りた「スマートボール」を開き大人気。田中栄会長は「浄念寺はなんといっても南1丁目のシンボル。今年はぜひ参加したいと申し入れたら、住職が快く応じてくれた」という。浄念寺住職の名和清隆さん(50)は「檀家さんはじめ、古くからの住民と新しい人たちが交流し合う機会になってくれればうれしい。スタッフも参加者もみんなが楽しそう」と笑顔で話した。

 今年のお十夜の目玉は「お寺DEオペラ」。名和住職が油谷さんを招いた。油谷さんは国立音大を卒業後、イタリアのパルマ音楽院に留学。パルマ王立歌劇場で多数のオペラに出演した。現在も僧侶とオペラ歌手の「二刀流」で活躍している。

 油谷さんはまず、プロジェクターを使い自身が住んでいたイタリア・パルマや現在暮らす喜多方市を紹介。さらに写真をヒントにした曲のクイズで楽しませ、「夏の思い出」「赤とんぼ」など日本の古い名曲を披露した。

 また「オー・ソレ・ミオ」「フニクリ・フニクラ」などなじみのあるナポリ民謡(カンツォーネ)を、イタリア語の素晴らしいテノールで歌い上げた。さらに片仮名でイタリア語を教え「サンタ・ルチア」を全員で合唱した。

 参加者たちは「声量がすごかった」「カンツォーネが聴けるとは思わなかったので感激」「合唱が楽しかった」と口々に話した。油谷さんは「盛り上がってくれて良かった。なかなかお寺に来る機会のない若い人たちがたくさん来ていて素晴らしい。開かれたお寺の取り組みとして参考になる」と話した。

 その後、本堂では十夜法要とご詠歌奉納が行われ、お十夜は幕を閉じた。

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