埼玉新聞

 

叫んで激走する警官、犯人確保も…仲間に連絡できず 異変感じた男性、代わりに連絡 上空の県警ヘリにも

  • 表彰に対し、斉藤芳久市長(右)からたたえられる斎藤雄二郎さん=鶴ケ島市役所

 鶴ケ島市内の茶畑を駆け足で逃走する男の逮捕に貢献したとして、同市道路建設課の斎藤雄二郎さん(57)が、西入間署から感謝状を贈られた。「無我夢中だった」と振り返る斎藤さんに、報告を受けた斉藤芳久市長は「よくやった」とたたえた。

 6月3日午後2時ごろ、同市脚折町の北ケ谷戸児童公園で、ブランコや滑り台など遊具の点検業務を行っていた斎藤さんは、近くで鳴りやまないパトカーのサイレンに異変を感じた。数十メートル先の民家の庭先から突然、「待て!」と叫びながら激走する警察官が現れた。

 作業を中断し、先回りするように近くの茶畑の方に向かった。うねの間で、うつぶせに倒れている外国人の男を警察官が1人で背後から取り押さえていた。警察官に胸元の無線を取る余裕はなく、「110番通報してください」と斎藤さんに要請した。通報後も上空のヘリコプターに向け、スマートフォンで状況報告を続けたという。男は逃走中に民家の敷地に立ち入った容疑で、その場で現行犯逮捕された。

 逮捕劇は斎藤さんの実家の茶畑で起きた思わぬ事態だった。「いま考えると怖い気もする。ここは、子どもの頃から遊び、慣れ親しんだ自分のテリトリーだという思いが、自然と体を動かしたのかもしれない」と斎藤さん。「市民の安全に少しでも貢献できたのであれば、うれしい」と笑顔を見せた。

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