埼玉新聞

 

<新型コロナ>給付金の申請「複雑で難しい」 川口商議所に連日駆け込む会社社長ら オンライン申請が不安

  • 商店主や中小企業の経営者らが訪れた川口商工会議所の緊急相談会=22日、川口市

 川口商工会議所(伊藤光男会頭)は、新型コロナウイルスに伴う支援で国や県、市が行う給付金や支援金などの申請方法をサポートする緊急個別相談会を開いている。「分かりにくい」「電子申請ができない」などの声に対処しようと、中小企業診断士や商議所の経営指導員らが相談に乗っている。予約制で行っているが相談に駆け込む零細企業の社長や商店主らは連日後を絶たず、来訪者たちは切実な悩みを口にした。

■大手店より強敵

 「スーパーと闘って生き残ってきた。だが、今度のコロナは強敵。いまだ経験したことがない」と市内で家電販売店を営む男性(63)は嘆いた。

 運転資金の相談に来たという男性は「貯金を切り崩しているが、これ以上は続かない」と打ち明ける。店は父が1968(昭和43)年に創業した“まちの電器屋さん”。家電大手の代理店として看板を掲げ、商売は繁盛した。しかし間もなくスーパーや家電量販店が進出し、経営を圧迫した。

 それでも生き抜くことができたのは、家電の苦手な地域のお年寄りの面倒を見たため。売るだけではなく、メンテナンスや修理の注文もあり、そこから新製品の販売にもつながった。

 ところが新型コロナは未知の苦境をもたらした。「(お年寄り宅へ)ご用聞きに訪問することも、上がり込んでテレビの調子を見ることもできない雰囲気になった」と男性。ウイルスは長年の顧客との縁も断ち切ろうとする。「だからスーパーよりコロナの方が強敵です」と話した。

■多い「申請が不安」

 川口市の場合、主な支援制度は国、県、市の三つがある。国の持続化給付金(中小企業200万円、個人事業者100万円)は前年同月比で売り上げ50%以上の減少が条件。県の中小企業・個人事業主支援金(20万円)は20日以上の休業が、川口市の小規模事業者等事業継続緊急支援金(10万円)は売り上げ減少がそれぞれ条件となっている。県はネットまたは郵送で申請、市はネット、郵送、窓口で、国は電子申請となっている。

 ただ、「受け取る要件や手続きが分かりにくい」という声は絶えない。会場では中小企業診断士らが申請要件を満たしているかを確認したり、申請手続きを手伝っている。

 マンションの大家として生活している不動産業の男性(42)はローンを組んでマンションを建てたが、3月から2戸が立ち退いたという。「市の緊急支援金をもらえることになり、ほっとしている。これでもう少し頑張れる」と安どの表情を浮かべた。

 小中高校生の学習塾をアルバイトの学生2、3人と40年間やってきたという女性(79)は「生徒が50人いるが、学校が3月から休校で、うちも一緒に休業してきた。国の支援金は手続きが複雑で全く分からない。相談に来て本当に助かった」と、相談に応じた商議所職員の名刺を大事そうに持って帰った。

 川口商議所の経営指導員石川悦吏さん(33)は「『自分がどんな支援の対象になるのか』という質問や、『オンライン申請が不安』と言う人が多かった。駆け込んで来た人たちの役に立てれば」と話している。

 相談会は予約制で27日まで受け付け、その後も個別相談などの対応を取るとしている。

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