埼玉新聞

 

<新型コロナ>さいたま市でデジタル授業、学習格差の広がり懸念 ネット環境や保護者の付き添いに課題

  • さいたま市のデジタル授業で利用される動画。1時限40分のうち、約15分の動画を視聴してからプリントを書くなどして勉強する

 新型コロナウイルスの影響で臨時休校が続いているさいたま市で、デジタル授業が11日から始まった。小中学校の児童生徒約10万人が対象で、時間割に基づいて動画を視聴して授業を受ける。スタートしたばかりだが、保護者から学習格差の広がりを懸念する声が出ている。小学低学年の子は保護者の付き添いがないとかなり困難で、ネット環境のない家庭はもちろん、きょうだい全員にパソコンを持たせることができない家庭があるなど課題は多い。市教委は「戸惑いを真摯(しんし)に受け止め、改善していきたい」としている。

 小学校の授業は約15分の動画を見て、プリントに書き込む形式。1週間ごとの「学習課題」があり、学校に提出する。小学2年の長女を学校に預けている父親は「双方向でなく、一方的に教科書や課題が読み上げられる映像。子どもは、ぼーっと聞いているようで、何の授業だったか聞いても覚えていなかった」と話す。プリントは真っ白なまま。映像の課題がプリントの何ページ目にあるのかも低学年では自分で探せない。「学習課題をこなすには、親が子どもに付きっきりで映像を見ながら教えないと無理だと思う」と語った。

 小学2年と5年の母親は、デジタル授業について「大人がいないと成り立たない」と話す。ネットワーク環境が一律ではない現状を指摘し、「ネット環境のない子、塾に行く子、分からないままの子、そもそも勉強しない子と格差が広がる」と懸念している。

 「プリントに付箋を貼って工夫しても、低学年の子には理解できない。結局、やり直さないとならない」と嘆く母親も。課題を提出できないことや、学校再開後の学習の遅れを懸念する保護者は多い。

 パートの女性職員(42)は高校1年、中学2年、小学6年の母親。デジタル授業自体は「ありがたいし、取り組みは評価している。でも知識の詰め込みだけではないと思う」と話す。自宅にパソコンは2台あるが、上の男の子が1台、下の女の子2人が1台を交代で使っている。動画を視聴してから、教科書を見て文書でまとめることになっているが、保護者がいないと難しいという。「親が働いていれば付き添えず、(学習面で)少し間が開く」と指摘した。

 午後は小学校からの課題を勉強することになっているが、課題はたまる一方で、親も子もストレスがたまっている。「課題をやっていなくて、学校に行きたくなくなるのでは」と心配は尽きない。「学校だと、分からなければ隣の人に聞いたりできる。学校は集団生活を学ぶ場でもある」と話した。

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