埼玉新聞

 

<新型コロナ>認可外も保育料返還を 登園自粛の園児持つママ友ら、オンライン署名 さいたま市に提出

  • 認可外も保育料返還を ママ友らがオンラインで署名

 新型コロナウイルスの影響で、登園自粛をしている認可外保育園に子どもを通わせているさいたま市の保護者らが14日午前、保育料の返還を求めるオンライン署名約600人分と要望書を市に提出した。感染を防止するため市役所を訪れることなく、オンライン会議システム「Zoom(ズーム)」を利用して、初めて署名提出した。

 オンライン署名を提出したのは、「さいたま市認可外保育施設の自粛対象者に返還を求める会」。代表で4歳の長男を認可外保育園に通わせている市内の母親(27)は、署名提出後、電話で取材に応じた。母親は対応した高橋篤副市長に「平等にしてほしい。同じ市民で税金を納めているのに、差があるのはおかしい」と求めたという。

 感染防止のため長男は登園を自粛。幼児教育・保育無償化制度に基づいて、パート勤務の母親は月6万6千円の保育料のうち、勤務時間の条件を満たして補助金3万7千円を受けているが、残りの2万9千円の保育料を支払っている。パートは休業しており、6割の休業補償が出ているものの負担は大きい。「なぜ私たちだけ切り捨てられるのか。子どもを守るために登園を自粛し、使っていない保育料が飛んでいく。どれくらい家庭に響いているか、(市は)分かっていない」と訴えた。

 保育料を稼ぐために仕事に出ている保護者もいるという。母親は「このままだと園か保護者か、どちらかが倒れる。持って2カ月で、それ以上払えない。退園も考えており、そうすると子どもの居場所がなくなる。それを止めるのが市の仕事だと思う」と話した。

 母親は自粛が続く中、「何とかしないといけない」と、同じ保育園に通うママ友らと相談してオンライン署名を開始。認可外施設に子どもを通わせている母親らの思いを共有できた。署名は市内ばかりでなく、全国各地から届き、匿名もあるという。

 清水勇人市長は14日午後の定例記者会見で、「保護者の皆さんからの要望についてはしっかりと耳を傾けながら、新型コロナウイルスというかなり特殊な状況の中で、認可外保育施設などが行っていた対応も十分に踏まえて、今後検討していきたい」と述べた。

 市幼児政策課によると、市は既に認可保育所と市独自の認定保育施設に、登園を自粛した日数に応じて、施設側が保護者に保育料を還付し、市がその分を負担している。残りの認可外の118施設約1800人は対象外となっている。

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