埼玉新聞

 

<埼玉の味レシピ>栄養満点、身も心も温まる「おっきりこみ」 アレンジさまざま、秩父地域のおふくろの味

  • 幅広の生麺を鍋に入れる島守令子さん

  • おっきりこみ

 「おっきりこみ」はうどんをたくさんの野菜とともに煮込んだ料理。寒い時期によく食べられ、深谷などでは「煮ぼうとう」とも呼ばれる。秩父地域ではそば店やうどん店などで味わえる。野菜がたっぷりと入っており、栄養満点で食べ応えも十分。身も心も温まる料理だ。

 おっきりこみは昔から秩父地域の家庭の味。手早く大量に作れるため、特に冬の寒い時期に重宝され、いろりを囲みながら味わっていた。そのほかにも小麦粉を団子状にちぎり、野菜と一緒に煮込む「つみっこ」や、鍋でゆでたうどんをそのまま各々が自分の箸で鍋からずりあげて食べる「ずりあげ」がある。

 小鹿野町小鹿野の中心市街地にある「須崎旅館」で、おっきりこみを作ってもらった。同館は明治創業の老舗旅館。元々は秩父を代表する絹織物「秩父銘仙」を買い付けに来る人たちが宿泊する宿だった。若女将の須崎真紀子さん(44)の姉で、調理長を務める島守令子さん(52)は「秩父はそばが有名になったけど、子どもの時はよくうどんを食べていた」と話す。

 最初は鍋でニンジンや長ネギなどから炒め、さらにキノコなども加えていった。だしを加えて煮た後、幅広な生麺を入れ、しょうゆを回し入れて再び煮込む。島守さんは「好みにもよるけど、生麺を煮込むと打ち粉が溶け出してとろみが出るので、うどんは一度ゆがいてから入れてもいい」とアドバイス。

 熱々の一品は野菜で彩られ、食欲をそそる。うどんは喉ごしがよく、野菜にはしっかりと味が染み込んでいる。たくさん野菜を食べることができる素朴な「おふくろの味」に、ついついおかわりしたくなる。島守さんは「野菜はその時に家庭で余っていたものを入れればいい」と話す。

 不用不急の外出を控える中、自宅で食事を作ることが増え、今日のメニューに頭を悩ませている人も多いかもしれない。そんなときは、おっきりこみ。自由度が高い料理で、さまざまなアレンジができる。島守さんは「うどんに飽きたらつみっこに変更したり、パスタやコンソメを使って洋風にしてみるのも面白い。ぜひ工夫して作ってもらえれば」と提案していた。

■レシピ

【材料】

ハクサイ200グラム、ニンジン50グラム、長ネギ130グラム、キノコ類80グラム、油揚げ20グラム、水1リットル、しょうゆ大さじ5、顆粒だし適量、うどん300グラム

【作り方】

1 ニンジンや長ネギなどの具材を切り、鍋で炒める。さらにキノコなども加えて炒める

2 顆粒だしと水を加え、野菜が柔らかくなるまで煮る

3 幅広な生麺を加えて煮込んだ後、しょうゆを加えて再び煮る

※麺は市販の乾麺でも構わない。野菜などの具材はその時に手に入りやすいものでよい

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