埼玉新聞

 

<新型コロナ>IT駆使、新しい学校の姿に期待 久喜の小学校でオンライン学習、通信環境など課題も

  • ズームを活用し児童と対話する教員ら=久喜市立太田小学校

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う臨時休校が、県内小中学校、高校などで続いている。児童の学習機会を確保するため、久喜市内の小学校では、県内でいち早くオンライン学習に乗り出している。ITを駆使した新しい学校の姿に期待が寄せられる一方、家庭の通信環境や教員のスキルアップが課題になっている。

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■2回目の授業

 4月30日、市立太田小学校で、4年生を対象にウェブ会議システム「ZOOM(ズーム)」を通じて2回目の学習支援が行われた。担任教員が児童の顔が並ぶ大画面に語り掛ける。「4年生になって頑張りたいことはなんですか?」。子どもは戸惑いながら、教員の問いに答えていた。

 担任の星野貴之教諭は休校が続く中、「まずは直接つながることができた。子どもの顔を見られることが何よりありがたい」と満足そう。やりとりを見守る林晴彦教頭も「初回に比べ職員も扱いに慣れてきた」と笑顔を見せた。

 クラス児童29人のうち26人が参加、初回より人数は増えた。しかし、通信のトラブルで、顔が映らない児童の姿も。

 同小では、参加できなかった家庭には電話でフォローした。

■GIGAスクール

 児童1人にパソコンやタブレット端末1台を使う環境を整えるという政府の「GIGAスクール構想」に歩調を合わせ、同市では研修を重ねてきた。臨時休校をきっかけに、各校が学習支援に着手。「ズーム」、動画投稿サイト「ユーチューブ」などを駆使し、教材作りに力を入れている。

 市立栢間小学校事務職員の安部友輔さんは市内各校のシステム構築や教材作りを支援。前職はシステムエンジニアで、政府機関や大手企業のシステム開発を手掛けていた。

 安部さんは、ズームや動画に加え、同小ホームページから、簡単なテストができるフォームなど、教員が作成した教材を紹介。「民間のサービスを組み合わせることで、いろいろなことができる。今後、子どもの方が面白いサイトを作る可能性もある」と話す。将来実現可能な取り組みに、個別教育相談や栄養士による調理実習、QRコードを活用した地域連携などを上げた。

■スキルアップも

 臨時休校下で進むオンライン学習支援。家庭間で通信環境が異なり、不公平が生じるとの声も。各校が支援を模索している。安部さんは家庭の通信環境について「GIGAスクール構想の課題が改めて浮かび上がった」と指摘する。

 市教委の青木真一指導課長は教育の公平性について「オンライン学習が家庭学習の全てではない。プリントの配布など、別の手立ても並行して行う」と家庭学習の前提を再確認した。

 また学校間、教員間のITスキルも課題に。安部さんは教員の今後の取り組みについて「1人で抱え込まず、複数の先生でアイデアを出し合うと面白い教材ができる。ウェブ会議などを活用し、先生の校務負担が減ることも大切」と強調する。

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