埼玉新聞

 

<埼玉の味レシピ>たらして焼くから「たらし焼き」 子どもでも簡単に作れる、秩父で定番のおやつ

  • ホットプレートでたらし焼きを焼く北エイ子さん

  • たらし焼き

 「たらし焼き」は菓子があまりなかったころ、秩父地域で畑仕事の間やお茶請けに食べていた。お好み焼きに近い食べ物で、小麦粉や水などを混ぜた具材をたらして焼くことから、その名が付けられたとされる。手に入りやすい材料で簡単に作ることができ、子どもと一緒にホットプレートで作るのも楽しい。

 たらし焼きはかつておやつの定番で、砂糖じょうゆなどを付けて味わっていた。大まかな作り方は同じだが、細部は各家庭によって異なる。最近は秩父地域の飲食店や道の駅などで販売され、居酒屋などでもつまみとして提供されている。懐かしい味を求めて注文する年配の客がいる一方で、初めて食べる若者もいる。

 小鹿野町河原沢の北エイ子さん(72)にたらし焼きを作ってもらった。子どもの時もおやつとして味わったが、季節によって大葉やしゃくし菜漬け、ご飯なども入れていたという。「今のたらし焼きのようにたくさんの具材は入ってなかったね」と振り返る。

 細かく刻んだキャベツや長ネギに小麦粉や調味料などを加え、よく混ぜ合わせる。水も加えながら、「お玉ですくって、よく落ちるぐらい」なのが混ぜ加減のポイント。ホットプレートにたらすと、すぐに片面が焼き上がり、ひっくりかえして裏面も焼ければ出来上がりだ。生地の厚さはお玉で調整しながら焼く。

 出来たてを食べると、みそ味が効いた素朴な味わいで、お酒ともよく合いそう。そのままでもおいしいが、お好みでソースやマヨネーズをかけてもいいそうだ。北さんは「ホットプレートを使えば、子どもたちでも簡単に作れる。具材はその時々にあるものを入れてもいい」と語った。

 たらし焼きは、同町河原沢の尾ノ内渓谷にある冬季限定の観光スポット「尾ノ内百景(冷っけぇ~)氷柱(ひょうちゅう)」の会場で販売したり、修学旅行の生徒が民家に宿泊する「民泊」で子どもたちと一緒に作ったりして、好評だ。子どもから大人まで幅広い世代から人気を集めるご当地グルメなのだ。

 ただ最近は新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、料理を振る舞う機会も減っているという北さん。「やっぱり自分の作った料理を食べて、喜んでもらうのがうれしい。それが一番の作りがいだから」と話していた。

■レシピ

【材料(約25枚)】

 キャベツ半玉、長ネギ2本、紅ショウガ、かつおぶし、干しエビ、みそ、だし、ベーキングパウダー適量、小麦粉1キロ、水1・4リットル

【作り方】

1 キャベツやネギを細かく刻む

2 小麦粉や調味料などを加えてよく混ぜ合わせる

3 ホットプレートに油を引き、混ぜ合わせた具材を入れて両面を焼く

4 焼き上がったらそのまま食べてもいいが、お好みでソースやマヨネーズなどを加えて食べても一味違った味が楽しめる

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