埼玉新聞

 

<もっとさいたまにスポーツを3>新型コロナでダメージ、地域励ます役割担う ブロンコス再生へ準備

  • 池田純氏

 新型コロナウイルスの問題は先行き不透明な状況が続いている。プロ野球もJリーグも開幕の見通しが立っていない。チームの収入も選手の年俸も激減するだろう。経済的なダメージは少なくとも3~5割に上るのではないか。

 沈みがちな空気を何とか明るくしようと、選手たちは自宅でできるトレーニング動画をアップしたりしている。埼玉で地域に元気を与えられるのは埼玉西武ライオンズであり、浦和レッズや大宮アルディージャの選手たちだ。彼らは今こそ、地域から受けた恩恵を返す時なのだろう。

 埼玉ブロンコスは残念ながら、そうはいかない。私はブロンコスの負債を返済し、全く新しい状態で再スタートできるよう懸命に取り組んでいる。幸い新たに支援してくれる県内の会社も出てきた。

 コロナ禍の苦しみはまだまだ続くだろう。ワクチンが開発されない限り希望の光は見えない。しかし、閉塞(へいそく)状況はいつか終わる。その時、全てが再生すると同時に、あらゆる空気や思考、物事の関係や在り方が変わるだろう。

 それは人々にとって本当にエッセンシャルでエコスマートなものが評価され、無駄なものが嫌われる、新たな時代の始まり。会議をウェブ上で行うのも普通になり、実際に顔を合わせることの価値が上がると思う。

 スポーツも同じ。変化に強いものが生き残る。ブロンコスはこの状況をサバイブした姿を含め、再生する社会の元気玉としてコロナ後の考え方や生き方を示し、地域を引っ張る象徴的な存在にならなければならない。今はそのための準備期間と捉えている。

 私がオーナーになったことで、ブロンコスはリッチで強い、プロ野球なら巨人のようになると期待もされているようだが、そんなつもりはない。そもそも私にオーナーという意識はない。ブロンコスのチェアマンになっただけだ。さいたまスポーツコミッションの武器としても必要だから、埼玉のバスケットボールの鍵を握ったのだ。ブロンコスは恐らく数年間はお金もなく、弱いままだろう。

 ただ地域でバスケを軸に皆を楽しませ、子どもたちを元気づけ、心身ともに健康になる部分に貢献する、そして地域の皆と一緒にブロンコスも成長する。コロナをサバイブし、その後の新しい社会で地域の元気玉になる姿を間近に見て感じて共感してもらい、地域を元気にする存在に再生させたい。

 さいたま市近郊でブロンコスが練習できる場所を探しているが、そこに子どもたちを集め、選手がバスケを教える取り組みもしたい。そういうところから地域の人たちに少しずつ支えてもらえるような再スタートを切りたい。

 コロナが終息してもプロスポーツの再スタートは華やかなスタイルではなくなると思う。4万人のスタジアムに1万人しか入らず、鳴り物は禁止かもしれない。それでもプロスポーツには復活の象徴としての姿が求められる。

 これからのスポーツの在り方は社会がどう立ち直っていくかのベンチマークになる。人々はスポーツが再生する姿に自らを重ね、期待を託す。ブロンコスがそんな存在になれるよう、今は粛々と組織を再生させ、準備を進めたい。

■池田純(いけだ・じゅん)

 1976年横浜市生まれ。早大卒。住友商事、博報堂を経て2011年12月、株式会社横浜DeNAベイスターズの初代社長に就任、観客動員数、売り上げ拡大に実績を挙げた。16年10月の退任後はスポーツ庁参与などを歴任し、19年3月から現職。

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