埼玉新聞

 

<新型肺炎>大宮も自粛ムード 休業要請で百貨店閉める 居酒屋テークアウト切り替え パチンコ店も経営難

  • 弁当のテークアウト販売に営業を切り替えた居酒屋「もつ焼大阪屋」=13日午後6時ごろ、さいたま市大宮区

  • 大半の店舗が臨時休業や時間短縮の態勢を取っている大宮西口DOMショッピングセンター=13日午後2時ごろ、さいたま市大宮区

 緊急事態宣言が発令され、県内の休業要請が始まった13日、対象となる百貨店やボウリング場などが店を閉めた。一方で、「生活が懸かっている」と、営業時間の短縮や営業形態を変える店も。誰もが、終わりの見えない状態に苦悩している。

 ダイエーやマルイのほか、約30店舗の専門店舗が集約しているさいたま市大宮区の「大宮西口DOMショッピングセンター」は、大半の店舗が4月上旬から、臨時休業や時間短縮をしている。

 同センターを管理する、大宮西口共同ビルの関係者によると、マルイなど都内に本店を置く大型チェーン店は、都内の系列店舗と同時期に営業自粛体制を取った。生活必需品などを扱う小売店については、各店で休業体制を決めているため、毎日、営業店舗数が変わるという。

 大宮西口共同ビルは「県内も休業要請となり、今後の営業方針に悩む店舗もあると思うが、全店と一体となり、この不況を乗り切っていきたい」としている。

■ボウリング場

 さいたま市南区にある創業約35年のボウリング場は、今月を営業休止にした。県の要請にかかわらず、3月上旬から休業を検討していたという。

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、店ではボールの指穴や貸し靴など、念入りにアルコール消毒して営業を続けていたが、客は減少するばかり。「2月中から同業者の間でも、足並みをそろえて休業するべきだとの話が出ていた。何より命が最優先。先が見えず経営的には相当厳しくなる」と頭を悩ます。

 春休みから大型連休にかけては、学生を中心に一番の書き入れ時。「コロナ終息を今は願うばかり。苦しいが耐えるしかない」と、来月からの営業再開を目指している。

■パチンコ店

 県内でパチンコホールを持つ男性経営者は「大手のパチンコホールが休業できるのは手元の資金が潤沢で、休業しても従業員への給料などの支払いに対応できるから」と指摘。「県内でも少なくない個人経営のホールは、人件費や家賃など固定費を稼ぐために休業するのは難しい」と話す。

 休業要請を受けて、休業するホールもあるが、自身のホールは時間短縮で対応。「こちらも生活が懸かっている。休業補償が示されず要請をされても困る」と憤る。

 2~3月の売り上げは前年同期比で約3割落ち込み、「今後の落ち込み幅はさらに広がるのでは」と危機感を募らす。4月末には各種固定費の支払い時期を迎え、「経営が苦しく事業継続が難しくなるホールが出るのではないか」と力なく語った。

 パチンコの景品の納入などを行う男性経営者は「まとまった休業日を設定すれば補償するといった、思い切った支援の枠組みがなければ多くのホールが営業を続けるのではないか」と話した。

■居酒屋

 さいたま市大宮区の居酒屋「もつ焼大阪屋」は今月上旬から、昼と夜の営業共に、弁当のテークアウト販売のみに切り替えた。夜の営業でテークアウトを注文した利用者には待ち時間の間のみ、午後7時まで店内で酒を提供する。

 従業員の赤坂治子さんによると、都内の飲食店が臨時休業や時間短縮をするようになってから、大宮駅周辺の商店街も自粛ムードが高まってきたという。

 県内では、飲食店の休業要請はないが、赤坂さんは「私たちも都に合わせて自粛しようという気持ちは強い」と話す。テークアウト販売で営業を続けていることについて、「周りの人から見たら、自粛していないと思われるかもしれないが、個人店が休んでしまったら、収入が全く無くなってしまう。ウイルス対策を第一に考えながら、この環境でできる工夫をしていきたい」と話した。

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