埼玉新聞

 

徳島、高円寺、もう一つは…南越谷阿波踊り 26、27日、4年ぶりの通常開催へ 「ようやく戻ってこられた」

  • 本番に向けて練習を重ねる藍響連のメンバー=17日午後8時ごろ、埼玉県越谷市増林

    本番に向けて練習を重ねる藍響連のメンバー=17日午後8時ごろ、埼玉県越谷市増林

  • 南越谷駅前にある阿波踊りの銅像を説明する関森初義実行委員長=12日午後、埼玉県越谷市南越谷

    南越谷駅前にある阿波踊りの銅像を説明する関森初義実行委員長=12日午後、埼玉県越谷市南越谷

  • ポスターとうちわを持ってPRする中沢建一事務局長=10日午前、埼玉県越谷市南越谷

    ポスターとうちわを持ってPRする中沢建一事務局長=10日午前、埼玉県越谷市南越谷

  • 本番に向けて練習を重ねる藍響連のメンバー=17日午後8時ごろ、埼玉県越谷市増林
  • 南越谷駅前にある阿波踊りの銅像を説明する関森初義実行委員長=12日午後、埼玉県越谷市南越谷
  • ポスターとうちわを持ってPRする中沢建一事務局長=10日午前、埼玉県越谷市南越谷

 徳島、高円寺と並び日本三大阿波踊りと称される「南越谷阿波踊り」が26、27日、4年ぶりに通常開催される。コロナ禍で、この3年間は延期や縮小開催を余儀なくされた。2019年以来の完全復活に、地元からは「南越(なんこし)の夏が戻ってくる」と喜びの声が上がる。例年以上に多くの観客が予想され、踊り手も運営も準備に熱がこもる。

■縮小足掛かりに

 南越谷阿波踊りは1985年スタート。同地域に本社を置く住宅メーカー「ポラスグループ」創業者で、徳島出身の故中内俊三氏が発案した。毎年8月下旬、南越谷に全国6千人以上の踊り手と70万人超の観客が訪れ、埼玉有数の夏祭りに定着。しかし新型コロナウイルスの感染拡大により2020、21年は延期、昨年はホールで踊り手と観客を制限した上で縮小開催となった。この間、南越谷駅と新越谷駅周辺の屋外開催も中止した。

 「ようやく戻ってこられた。多くの来場が予想されるので、不備のないよう万全にしたい」。南越谷阿波踊り振興会の中沢建一事務局長(62)は喜びとともに責任感を一層強くする。

 今年の復活には、昨年の縮小開催が足掛かりとなった。「どこの連(踊り手グループ)も2年間全く活動していない状態。人数減少など各連の話も聞いていたので連を応援する意味で、昨年は絶対に開催しなければならない大会だった」。今年は全国64連(約2500人見込み)が参加する。「前回19年(77連約6500人)に比べて減ってはしまったが、踊り手の熱い思いをご覧になっていただけたら」と期待を込める。

■練習にも変化

 本番を指折り数えるのは踊り手も同じだ。今月17日午後7時半過ぎ、地元連「藍響連」のメンバー約20人が越谷総合公園に集まった。

 大会が実質3年間行われなかったことで、連を取り巻く練習環境も大きく変化した。これまでは屋外練習時、太鼓や鉦(かね)の鳴り物が夏の風物詩として歓迎されたが、大会自体がなくなると、近隣住民から騒音のクレームが増加。さらに密になるため大勢で集まる練習も限られ、解散した連も少なくない。

 連長の小池学さん(53)は「(コロナ禍を経験し)みんな踊れる幸せを感じているはず。今年はその分、気合が一層違う」と汗を流していた。

 同振興会によると過去36回の大会で、最多の観客は前回19年の78万人。今年は通常開催とあって多くの人出が予想される。「阿波踊りはやっぱり外で汗かいて踊らないと。心を込めた一致団結の踊りで多くのお客さんを魅了したいね」と小池さん。

■失って気付き

 南越谷阿波踊り実行委員会の関森初義委員長(68)は「うれしい半分、不安も半分」と話す。コロナに加え今年は熱中症も懸念され「見えないものとの闘い。安心安全が完全に網羅できないので段取りを含めてしっかり対応したい」と本番を見据える。

 今年は関森さんが会長を務める南越谷商店会と、駅反対側の新越谷西口商店会が初めて合同で飲食ブースを出店する。阿波踊りのない夏を経験し「南越谷には阿波踊りがやっぱり必要と地元の誰もが実感した」と関森さん。コロナで打撃を受けた商店会同士が、垣根を越えて盛り上げ役を買って出る。「この数年間は『阿波踊りの灯を消すな』が地元の思いだった。観客も踊り手も心から楽しんでほしい」。熱狂の夢舞台は間もなくだ。

ツイート シェア シェア