埼玉新聞

 

<センバツ>新型肺炎で大会中止が決定 大舞台消滅も花咲徳栄「夏の甲子園に行けるよう頑張るだけ」

  • 岩井監督(右)から選抜大会中止の報告を受ける花咲徳栄の選手たち=11日午後、同校野球部寮

 日本高野連は11日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、19日に開幕予定だった第92回選抜高校野球大会の中止を決めた。球児らの夢の実現へ、無観客での開催を模索してきたが、選手の健康、安全面を最優先に考えて断念した。

 4年ぶり5度目の選抜大会出場校に選ばれていた花咲徳栄の大舞台が、新型コロナウイルスの感染拡大によって消滅。練習後、野球部寮内のミーティングルームに選手たちを集めた岩井監督は、「日本高野連から選抜大会中止の報告があった。重い決断をしっかり受け止めてほしい」と鎮痛な面持ちで決定を伝えた。

 動揺する選手たちに、同監督は「練習を中断して東日本大震災で亡くなった方々に黙とうをささげながら、コロナの影響で亡くなっている方がいる中で野球をやらせてもらえる感謝と同時に、野球をやっていてもいいのだろうかと思っていた」と胸の内を吐露した。ミーティング後、取材に応じた指揮官は「自分たちの夢も大事だが、それよりも重いものがある。命には代えられない。そういうことを教えてきたつもり。きっと分かってくれる」とナインを信じる。

 その思いは、選手たちに伝わっていた。主将の井上は「チーム全体で受け止めるしかない」と話し、「自分は2度も甲子園に立っているが、今回が初めてだった仲間もいる。その仲間を夏の甲子園に連れて行けるように頑張るだけ」とチームメートを思いやる。

 昨秋までは一体感に課題を抱えていたチームを改善するため、関東大会後に中軸を担う井上が主将に就任。岩井監督も、少しずつ大人びてきた選手たちに手応えを感じていたという。同監督は「いるべき場所があり、やるべきことがあったのはプラスに働く。無駄にはならない」と強調した。

 選抜大会の中止が決まった以上、どれだけ早く切り替えられるかが肝心だ。「明日からどうなるかは分からないが、少しでも夏の甲子園に近づけるようにやっていくしかない」。腹を決めた井上の言葉が頼もしい。

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