埼玉新聞

 

<新型肺炎>秩父の観光に打撃 台風や暖冬の落ち込みに追い打ち、キャンセル相次ぎ不安募る

  • 梅が見頃を迎えたが、予定されていた梅まつりは中止となった=7日午前、秩父ミューズパークの梅園

 新型コロナウイルスによる感染拡大で、秩父地域の観光が打撃を受けている。昨年は台風19号で影響を受け、今年になっても暖冬で冬の風物詩「秩父三大氷柱」が早期終了や規模縮小を余儀なくされた。昨秋からも厳しい状況が続く中、春のイベントの中止や団体旅行のキャンセルが相次ぎ、観光の落ち込みに追い打ちを掛けている。春の観光シーズンを前に関係者らは頭を抱えている。

■マスクを着けて観賞

 7日午前、秩父市と小鹿野町にまたがる秩父ミューズパークの梅園。梅が見頃を迎える中で、マスクを着けた人が歩いていた。同園は面積約1万5千平方メートルに白加賀や豊後など、15種類約600本の梅が植えられている。8日は「梅まつり」も予定されていたが、新型コロナウイルス感染拡大防止のため中止に。同パーク管理事務所は「梅まつりは中止となったが、梅は自由に見てほしい」と語った。

 秩父地域で4月11、12日に開催予定だった「第16回秩父いってんべぇウオーキング2Days」も中止に。県内の6大ウオーキング大会で構成される「埼玉県マーチングリーグ」のスタートイベントで、昨年は関係者を含めて2830人が参加。今年は2コースをリニューアルしていた。

 同実行委員会によると、スタートやゴール会場に不特定多数の人が集うことで、集団感染(クラスター)発生のリスクを高める恐れがあることなどから中止を決定。同実行委の会長を務める久喜邦康市長は「参加者の身体の安全と地域への影響を最大限考慮した結果、やむを得ずの判断。大変残念」とコメントした。

■シバザクラも心配

 4月17日から5月6日までには、同市大宮の羊山公園にある「芝桜の丘」で、「芝桜まつり」も控えている。9種類40万株以上のシバザクラが咲く観光名所で、昨年は同まつり期間中に44万2955人が来場し、大型連休中も31万6741人が訪れた。準備は進めているが、パンフレットの印刷を止めているという。

■募る不安

 ホテルや旅館も大きな影響が出ている。市内の旅館業関係者によると、2月中旬から断続的に団体客のキャンセルが相次いでいる。関係者は「小中学校や高校が休みになったことで、大きな流れが変わった。いつになったら落ち着いてくるのか、見通しが立たない」と不安を募らせる。

 皆野町皆野のホテル「いこいの村ヘリテイジ美の山」では、「埼玉県ふっこう割」のキャンペーンを今月14日まで開催している。同割は台風19号の影響で落ち込んだ観光需要を回復するため、県が対象市町村への1泊以上の旅行商品代金や宿泊料金の割引を実施するもの。税別1万円以上の宿泊では、1泊当たり5千円の割引が受けられる。

 同割の対象は直接予約のみで、支払いは現金だけとなるが、1人当たり3泊まで割引利用ができる。館内ではアルコール消毒などの対策も徹底しているという。同ホテルの山本伊知郎支配人(54)は「空気がきれいな場所で夜景や星空を楽しみ、癒やされてもらえれば」と、PRしている。

ツイート シェア シェア