埼玉新聞

 

<新型肺炎>感染した警官と濃厚接触、武南署で35人自宅待機 県職員の妻と娘も 県、移動経路など調査

  • 埼玉県庁=さいたま市浦和区高砂

 県農業技術研究センター(熊谷市)に勤務する行田市在住の60代の男性県職員が新型コロナウイルスに感染していたことが判明したことを受け、県は6日、出勤時の男性の移動経路や濃厚接触者を調査するとともに、感染拡大防止のため、職員に体調不良の際には出勤を自粛するよう改めて呼び掛けた。また感染が確認された上尾市在住の50代の男性警察官が勤務する武南署(川口市)では、濃厚接触者とされた警察官35人(定数231)が同日から自宅待機。県警本部などから約10人の応援の職員を派遣し、業務機能を維持している。

■情報を出す必要がある/保健医療部長

 感染者はいずれも2月下旬から4日まで断続的に発熱の症状があり、4日にCT検査で医師から肺炎の診断を受けていた。いずれも中国湖北省武漢市への渡航歴はなく、感染経路は不明。県は2人が5日にPCR検査を受けたことについて、「高熱やせきの症状から医師が新型ウイルス感染を疑ったのだろう」とみている。

 男性県職員は3日に1時間だけ同センターに車で出勤。男性の勤務する部署には当時、10人程度の職員がおり、地元の保健所は出勤時の男性の移動経路や濃厚接触者を調べている。県によると、同センター内ではアルコール消毒を実施。閉鎖や職員の出勤は停止していない。

 県は県職員への感染拡大防止のため、体調不良の際には出勤を自粛するよう改めて呼び掛けた。発熱の場合、解熱しても2日間は出勤を自粛し、1日2回検温するよう促している。また、風邪の症状がある親族と長時間接触があった場合、自身に風邪症状がないのを確認してから出勤。合わせて、在宅勤務や時差出勤を実施している。

 6日の県議会2月定例会の福祉保健医療委員会で、感染者の情報公開基準を問われた関本建二保健医療部長は「昨日(5日)発表した2人(県職員と警察官)は感染経路が分からず、不特定多数の方と接している可能性もある。リスクが高いケースは、社会的混乱が生じない範囲でできるだけ(在住地などの)情報を出す必要がある」と述べた。

 一方、中国湖北省・武漢市から帰国した40代男性らについては「感染源がはっきりしていた。防疫措置が可能なものは、混乱を避けるためにあまり情報を出さなかった」と説明した。

 委員会で同部は感染拡大が懸念される場合は施設の休業やイベント自粛の要請を検討する考えを示した。医療機関での受け入れについては「今後感染が拡大した場合、高齢者や基礎疾患があるなど重症化の恐れがある方を中心に、高度な医療提供が可能な医療機関に入院できる体制をつくる」とした。

 県は9日、専門家会議を開催する。

■妻はライブハウスや三味線教室に参加、次女は都内勤務

 県は6日、行田市在住の60代無職女性と30代会社員女性がPCR検査の結果、新型コロナウイルスに感染していることが確認されたと発表した。女性2人は、5日に感染が発表された60代の男性県職員と同居する妻と次女。

 県によると、妻は2月28~29日に37・1度の熱があり、自宅で療養。5日に夫の濃厚接触者として県内医療機関を受診し、検体を採取。次女は3日に38・0度の発熱と関節痛、筋肉痛があり、4、5日は自宅療養。5日に検体を採取した。6日現在、2人とも症状は出ていないが、県内の指定医療機関に入院した。

 妻は2月20日に東京都内のライブハウス「池袋音処・手刀(チョップ)」で鑑賞。同21、27日はコナミスポーツクラブ行田店でダンスをしていた。22日は熊谷市中央公民館で三味線教室に参加し、25日と今月2日には別居する90代の母親とさいたま赤十字病院を訪れていた。母親は7日にPCR検査を行う。

 都内勤務の次女が2日に出勤した際、JR行田駅から渋谷駅まで湘南新宿ライン、渋谷駅から神泉駅まで京王井の頭線を利用した。

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