埼玉新聞

 

ピックルス、飯能に漬物のテーマパーク 来春に開設 ムーミンのテーマパークに着目、西武鉄道も注力の地域

  • ピックルスコーポレーションが飯能市内に新設する食のテーマパークでは、ショッピング棟など4棟を建設し、自社の漬物などを直売する(イメージ、同社提供)

 漬物メーカー大手のピックルスコーポレーション(所沢市)は2020年3月、飯能市内に漬物と健康をPRする食のテーマパーク「OH!!! 健康・発酵・in飯能」を開設し、直販事業を強化する。

 3月にムーミンと北欧のテーマパーク「メッツァ」が飯能市内に開業することに着目し、観光客の増加傾向があることから開設を決めた。

 観光客や地域住民をターゲットに物販や飲食事業を展開し、直販事業を推進しつつ地域活性化を図る。同社は漬物を製造し小売りなどに卸す事業が主だが、新施設の開設を機に、直販事業をさらに推進し収益拡大に努める。

 開業地は、西武池袋線飯能駅から北西に約1・5キロに位置する能仁寺周辺。面積は約9900平方メートルで、土地は寺から賃借する。

 敷地内には物販や飲食などの店舗など4棟を設置する。ショッピング棟では同社の漬物や地元野菜などを販売。ピーネカフェ棟では独自の乳酸菌を使った甘酒やスイーツなどを提供する。

 漬物を活用した食事や、法事などでも利用できるレストラン、近隣の学校や利用客向けに漬物教室などを開くワークショップ棟も開設する。建物には地元木材「西川材」を取り入れる。開発費は約7億円。

 能仁寺とも連携。座禅、写経、精進料理を組み合わせた企画も用意し、集客につなげる。新設する子会社が運営し初年度は30万人以上の集客、売上高7億円が目標。将来的には年間10億円を目指す。

 同社は近年、事業拡大の一環で直販事業強化と地域貢献の両立を摸索してきた。

 その中で、世界遺産の富岡製糸場(群馬県)の近隣にある「こんにゃくパーク」(同)などのように、観光客を取り込みつつ、地域経済にも貢献している食のテーマパーク事業に着目。同様の事業を自社でも展開できれば、直販事業の強化と地域貢献の両立ができると判断し、1年前から開設場所などを検討してきた。

 飯能市内は「メッツァ」の開業や、日高市や秩父地域など近隣にも観光客が訪れる点などから、有力候補地の一つとなっていた。

 最終的に、同社の社外取締役に能仁寺の関係者がいたことや、同市周辺に訪日外国人(インバウンド)らを呼び込もうと西武鉄道が注力している点が要因となり、同市内への開設を決めた。

 宮本雅弘社長は「関連する団体や企業とも連携してインバウンドらの集客を推進し、地域経済の発展にも寄与できるよう、新事業に全力で取り組む」と意欲を示している。

ツイート シェア シェア