埼玉新聞

 

新ごみ処理施設、建設事業が白紙に 建設場所巡り合意できず 協議6年…鴻巣と行田、北本の枠組み破綻

  • 3市の新ごみ処理施設建設事業が白紙となった経緯を説明する原口和久鴻巣市長=13日午後、鴻巣市役所

 鴻巣、行田、北本の3市の環境資源組合(管理者・原口和久鴻巣市長)は13日、鴻巣市に計画していた新ごみ処理施設の建設事業を白紙に戻すと発表した。建設場所を巡り3市が合意できず、用地取得などに移行することが不可能と判断。約6年に及ぶ協議の末、3市の枠組みは破綻した。

 12日の正副管理者会議で原口市長が建設事業を白紙に戻すことを提案し、副管理者の石井直彦行田市長、三宮幸雄北本市長が了承した。

 新施設は3市の中央に位置する鴻巣市郷地・安養寺に、2024年12月の稼働を予定していた。しかし、今年4月に当選した行田市の石井市長が市民負担の軽減を理由に、行田市小針のクリーンセンターに隣接する市有地への建設を主張。これまで3者で協議を重ねてきたが、溝が埋まることはなかった。

 13日に鴻巣市役所で会見した原口市長は「何とか歩み寄りを図ったが、行田市の意向は変わらないと判断した。断腸の思いだ」と述べた。行田市への建設を求め、住民投票の実施を目指す署名運動の影響に関しては否定した。

 3市は13年5月、鴻巣市への新施設の建設などを盛り込んだ基本合意書を締結した。これまで準備に約5億円の経費がかかっており、原口市長は郷地・安養寺への建設を目指し、新たな枠組みを模索する方針を示した。

 石井市長は「できる限り市民負担の少ない、ごみ処理行政の推進に取り組みたい」、三宮市長は「あらゆる可能性を含め、検討したい」とコメントした。

 鴻巣市に建設した場合の概算事業費は600億円超と試算されていた。これに対し、石井市長は造成済みで好条件の行田市に建設すれば、約65億円のコスト削減になるとして、候補地に加えるよう要求。来年2月の組合議会に予算を提案するには、年内の合意が必須だった。

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