埼玉新聞

 

自転車保険、埼玉の加入率7割で全国5位 18年に義務化する条例 県、未加入層に向け加入呼び掛け

  • 埼玉県庁=さいたま市浦和区高砂

 自転車の利用者らに損害賠償保険の加入を義務化する条例を制定する動きが、全国に広がっている。埼玉県も2018年4月に条例を制定したものの、加入率は約7割にとどまっている。3割以上が加入していないことから、県は条例の周知が必要として、ホームページ(HP)などで加入を呼び掛けている。

 au損害保険の実施した自転車保険の加入状況調査によると、埼玉県の加入率は66・9%で全国平均(56・0%)を10・9ポイント上回り、全国5位だった。

 自転車事故による相次ぐ高額賠償事例などを背景に、県は18年4月から自転車保険の加入を義務化。加入率1位は同じく義務化した兵庫県(71・5%)だった。調査は18年12月~今年2月に全国約2万人を対象に実施した。

 県の県政サポーターを対象としたアンケートによると、18年に56・3%だった自転車保険の加入率が、19年には69・2%と12・9ポイント上昇。県防犯・交通安全課は「加入率は上がってきているが、残り3割の未加入層に向けて義務化を一層周知していくことが必要」としている。

 県は啓発チラシの配布をはじめ、HPや広報紙、ラジオCMなどを通じて義務化を知らせてきた。

 19年の同アンケートでは、未加入の理由として「加入するきっかけがなかった」(39・2%)や「義務化を知らなかった」(24・1%)などの割合が高い。自治会の回覧板で自転車保険の義務化を知った高齢者が県に問い合わせをしてきたケースもあったという。「加害者になることは考えられない」も11・1%いた。

 県内で今年1~10月に発生した自転車が第1当事者の事故は640件で、前年同期比で129件減少。18年の年間件数は964件で、17年の1103件から139件減った。同課は「保険に加入することで運転に気を付けるなど、意識の変化が表れているのではないか」と分析する。

 一方、今年7月にさいたま市西区で自転車に乗った50代男性が歩行者の80代男性に衝突し、歩行者の男性が死亡する事故が起きた。17年10月にも同様の死亡事故が同市岩槻区で発生している。

 火災保険や傷害保険の特約として、自転車保険の内容が含まれているものもあり、県はHPで自転車保険の加入の有無を確認できるチャートを掲載。同課は「各種保険の契約内容を確認した上で、自転車保険に加入していなければ、自身に合った保険に加入してほしい」と呼び掛けている。

■自転車保険

 自転車事故で相手にけがをさせた際などに損害を補償する保険。損害保険会社がインターネット、コンビニなどで扱う。整備された車体に適用されるTSマーク付帯保険や、車や火災の保険の特約に含まれるケースもある。

 主な条例は自転車利用者や保護者、従業員に使わせる事業者、レンタル業者らに加入を求める。加入状況を把握していない人も多く、自転車販売店や事業者に確認するよう努力義務を課す。

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