埼玉新聞

 

<川口いじめ>自分のいじめ記録ほとんど開示されず、開示の文書も虚偽多く…元生徒側が市を提訴 母が憤り

  • 川口市教委から届いた「不訂正決定通知書」の備考欄

 川口市立中学校でいじめを受け自傷行為や不登校になったとし、元男子生徒(16)が市教委や学校の対応について関連文書の公開や訂正を求めていた問題で、元男子生徒側が市を相手に情報の開示を求め不開示決定の取り消しや虚偽情報の訂正などを求める訴えをさいたま地裁に起こしたことが30日、分かった。提訴は21日付。

 訴状などによると、市個人情報保護条例に基づき「いじめ重大事態に関する記録全て」について開示を求めたがほとんどが開示されなかったことや、一部開示されたものの虚偽の記載が多く、訂正を求めたが応じていないことなどを違法としている。

 元男子生徒側は昨年1月に開示請求。(1)市教委と学校、それぞれの事故発生報告書(2)学校の指導要録(3)職員会議録(4)市教委会議録(5)生徒などの聞き取り記録(6)文科省、県教委とのやりとり文書―などについて開示請求した。

 市教委は昨年1月26日付で、いじめの第三者調査委員会に関する文書以外は開示すると決定したが、請求項目のほとんどが開示されなかった。一部開示されたものに、いじめの事実に関する記述がなく虚偽も多いとして、元生徒側は2月15日付で訂正請求を行い、市教委は3月7日付で「訂正する」との決定を通知した。

 しかし、その後も市教委は対応せず、訂正決定から半年後の9月に「不訂正決定」を元生徒側に伝えてきた。

 元生徒側は、第三者委の文書の不開示は、「いじめ被害者に適切に情報を提供する」と定めたいじめ防止対策推進法に違反するとしている。

 元生徒側は市教委が開示しなかった文書について県教委に開示請求し、今年1月11日付で関係文書約180ページが開示された。市教委が県教委に行った事件対応の経過報告など、市教委が不開示とした内容と重なる内容だった。

 県教委が開示した文書について、母親は「市教委が隠そうとしていたことが分かる内容だった。ほとんどが虚偽。いじめ事件の本質について触れていない。保護者同士のトラブルがあったとか、母親が校長を呼びつけたなどと書き、私がモンスターペアレントだと思わせる内容。憤りを感じるばかりだ」と話す。

 市教委の岩田直代指導課長は「訴状を見ていないのでコメントできない」としながらも「情報開示については行政管理課を通じて適切に対応したと認識している」と話した。

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