埼玉新聞

 

国際政治学者・三浦瑠麗さん、地域経済も国際的な視点重要 埼玉新聞創刊75周年で記念講演

  • 「地域経済は経済的相互依存の重要な担い手であり、インバウンドも重視すべき」と話す三浦瑠麗さん=11日午後、さいたま市大宮区

 さいたま市大宮区で行われた埼玉新聞創刊75周年記念式典に先駆けて、国際政治学者の三浦瑠麗さんの記念講演が行われた。「グローバル化に地域経済はどう対応すべきか」をテーマに、米中韓との関係性や今後の日本の進む道などについて述べた。

 三浦さんは東京大学農学部卒業後、同大学院法学政治学研究科総合法政専攻博士課程を修了。同大学政策ビジョン研究センター講師を経て、2019年から山猫総合研究所の代表を務める。国際政治理論などが専門で、著書も多く、鋭い視点と丁寧な解説でテレビ番組にも多数出演している。

 三浦さんは講演で、先進国に共通する現象は「既存の政党が弱くなり、人々が目の前の不満に対して集団行動する傾向がある」と指摘。「冷戦が終わった約20年の間、飛躍的にグローバル化が進んだことに大きな影響がある」と話した。

 日本を取り巻く国際状況として、来年行われる米大統領選に言及。「黒人の有権者の共感を誰が呼べるか注目」と見通しを示し、どう米国と向き合えば良いかについて、「次の大統領に何ができるのか、既定路線でさほど変わらない米国と向き合わざるを得ないのでは」との見方を示した。

 日本の対応すべき道としては、「日本の置かれた環境を考えると、中国と米国どちらかを選べと迫られるのは国益上で悪夢」としながら、「外交安全保障では米国以外の選択肢はない。日本の転機を意識すべき」と考えを述べた。

 地域経済がやるべきことは「政府間が対立しても隣国との経済的相互依存を切らさないこと」と国際的な視点の重要性を話した。

ツイート シェア シェア