埼玉新聞

 

<豚コレラ>本庄でも感染、県内3例目 野生イノシシの防護柵、設置せず 再発に知事「非常に残念」

  • 豚コレラの陽性反応が出た養豚場に出入りする関係者たち=11日午後4時10分、本庄市児玉町

 県は11日、本庄市の養豚場で飼育されていた豚12匹が豚コレラに感染していたと発表した。秩父市、小鹿野町の農場に続き、県内では3例目。県は緊急対策本部会議(本部長・大野元裕知事)を開き、本庄市の養豚場の224頭と、管理者が同じ神川町の養豚場の1860頭の計2084頭を殺処分する方針などを決めた。大野知事は再発を「非常に残念」と述べ、「ウイルス拡散防止や野生イノシシ対策、養豚場のバイオセキュリティーの向上などの対策が重要」と早期封じ込めを指示した。台風19号の影響で、殺処分開始は14日となる見込み。

 県畜産安全課によると、本庄市の養豚場は3日に群馬県藤岡市で野生イノシシの感染が確認された地点から半径10キロ圏内。監視対象農場に指定され、毎日、管理者が豚の様子を県に報告していたが、9日まで異変は見られなかったという。養豚場から10日、「複数の豚が死んでいる」との報告を受けた県が立ち入り検査し、死んでいた10頭を含む計12頭の感染が11日に確認された。野生イノシシの侵入を防ぐ防護柵を設置していなかった。

 県は殺処分や埋却、消毒など一連の防疫措置に職員997人を投入する。通常、殺処分は検査で豚コレラ感染が確認された後、速やかに行うが、国との協議の結果、台風19号の接近を考慮し14日にずれ込んだ。17日に防疫措置を完了する予定。また、10キロ圏内に4カ所の消毒ポイントを設置する。

 豚の移動が禁止される半径3キロ圏内には養豚場1戸と豚を飼育する県立高校がある。外部への搬出が制限される10キロ圏内には11戸の養豚場とペットの豚を飼っている個人がいるという。10キロ圏内の飼育頭数は約8千頭に上り、「県内では飼育数の多いエリア」(畜産安全課)に当たる。

 県は野生イノシシを捕獲・検査する捕獲強化地域をこれまでの6市町から飯能市、本庄市、東秩父村を含めた9市町村としたが、今後さらに拡大を検討する。エサに混ぜて野生イノシシに投与する経口ワクチンについても、豚コレラが発生していない地域に感染したイノシシを呼び込んでしまう危険性を考慮しつつ、慎重に検討するとした。

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