埼玉新聞

 

警備犬シータ、ラグビーW杯に出動 県警の警部補と愛犬以上のコンビ、熊谷ラグビー場で観客の安全守る

  • 警備犬シータ号と警備犬指導士の加藤警部補=12日、上尾市の県警警察犬センター

 開幕したラグビーワールドカップ(W杯)には世界各地から大勢の観客が集まる。会場周辺では、テロ防止など厳重な警備強化が求められるが、活躍を期待されるのが警備犬。

 6日に熊谷ラグビー場で開催された日本対南アフリカの壮行試合では、県警の直轄警備犬シータ号(ジャーマン・シェパード、3歳、雌)と危機管理課の警備犬指導士、加藤真警部補(39)が周辺を警戒。試合終了まで観客たちの安全を見守った。

 24日から同会場で始まる本戦にもコンビは出動。熊谷の警備に当たる。

 県警は、ラグビーW杯や東京五輪・パラリンピックの警戒、警備を見据え、2016年に県警内で警備犬指導士を公募。直轄警察犬・警備犬の運用を今年4月から開始した。

 「動物に携わる仕事をしてみたい」。以前からの夢をかなえるため、加藤警部補は10年以上勤めた県警高速隊から、職種が大きく異なる警備犬指導士の世界に飛び込んだ。

 警備犬は、事件発生後の犯人追跡などを行う警察犬と異なり、爆発物の捜索や災害救助などで活躍する。体力に自信があり、忍耐力の強い犬であることが求められる。

 加藤警部補は、警備犬に抜てきされたばかりの当時1歳のシータと17年6月に初対面。表情をほとんど変えない、おとなしい性格という印象とともに、他の警備犬に勝るとも劣らない、優れた嗅覚と頭脳の持ち主であることを見抜いた。

 「もっと活動的になれば、さらに成長する」と、まずは自分から率先してアクションを取り、同じ動作をまねさせた。

 毎日同じメニューを何回も積み重ねることで、シータの才能は開花。ロッカーに隠された爆薬を嗅覚で感知する爆発物探知は、他の警備犬よりも速い。犬にとっては困難な避難はしごの上り下りも難なくこなす。「賢く、俊敏な警備犬」と周囲に称賛される存在になった。

 加藤警部補は家族以上にシータと一緒に過ごしている。休日も、「ちゃんとご飯は食べているのか」と心配になり、シータがいる上尾市の警察犬センターへ出向いてしまうこともある。

 しかし、「愛情は注いでも、溺愛はしない」と、互いの距離に一線を引くことも心に留めている。シータには、自分の身を投げてでも危険な現場に踏み込む使命が与えられているからだ。

 「緊急時もちゅうちょせずに指示が出せるよう、愛犬以上に愛を超えた関係を、シータと築いていく」と力強く語る加藤警部補。今後もシータと共に国民の命を守る職責を全うしていく。

 ラグビーW杯以降も、東京五輪・パラリンピックを控え、警備犬の役割は重要さを増している。県内のテロ対策を指揮する危機管理課の松本陽一次席は「東京五輪・パラリンピックでは、警備犬の特性を生かしつつ、行政や民間事業者などとも連携し、テロを許さない安全なまちをつくる」と話している。

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