埼玉新聞

 

脇差しや太刀など、えりすぐりの名刀が27振り 川越の博物館で県名刀展、熱心に見入る女性の姿も

  • 五ケ伝をテーマに展示された日本刀=川越市郭町の市立博物館特別展示室

 平安時代から明治初期までの刀を集めた県名刀展(県刀剣保存協議会と川越市立博物館共催)が23日まで、埼玉県川越市の同博物館の特別展示室で開かれている。協議会員や博物館が所蔵するえりすぐりの刀27振りをはじめ、刀の外装類なども展示している。

 県内で毎年開かれ、今年で62回目を迎える。今年度は日本刀の主な系譜である「五ケ伝」をテーマに展示した。日本刀は地域によって特色ある作風が見られ、特に山城(やましろ)、大和、備前(びぜん)、相州(そうしゅう)、美濃(みの)の旧5国を体系づけたものを五ケ伝と呼んでいる。

 平安時代に作られた脇差し(山城国)や太刀(備前国)、刃長が30センチの短刀(美濃国)や76・2センチの刀(山城国)など、さまざまな刀剣を展示している。「五ケ伝を目指した刀」として加賀、紀伊、武蔵の刀剣も紹介。手の込んだ意匠が施された小柄などの外装類も展示している。

 県刀剣保存協議会顧問の中里昭義さん(91)=川越市岸町=は「山城伝(京都府)は雅で上品さを備えた刀、大和伝(奈良県)は地域に寺が多く、僧兵がいたこともあり、武に力を入れた刀が作り込まれている。そういった点に注目して鑑賞されるのも面白い」と話す。

 会場には女性の姿も目立ち、東京都練馬区から訪れた30代の会社員女性は「日本刀には長い歴史を重ねてきたロマンを感じる。刃紋の乱れが特徴的な備前伝が好き」と言い、熱心に見入っていた。

 午前9時~午後5時まで。入館料200円(高・大学生100円、中学生以下無料)。22日午前10時半と午後1時半から、鞘師(さやし)堀越隆夫さんによる鞘の製作実演がある。問い合わせは同館(電話049・222・5399)へ。

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