埼玉新聞

 

「1千万円持ち帰りたい」引き出し求める女性を説得、詐欺被害防ぐ 川口署、信用金庫職員に感謝状

  • 作田隆志署長(左)から感謝状を受け取った藤田紗綾佳さん(左から2番目)

 振り込め詐欺を未然に防いだとして川口署は9日、瀧野川信用金庫芝伊刈支店の窓口担当藤田紗綾佳さん(36)に感謝状を贈呈した。

 同支店に7月26日午前10時ごろ、川口市の70代女性が来店。女性は「1千万円の現金を持ち帰りたい」と使途不明の高額引き出しを求め、目をそらすような様子だったという。

 対応した藤田さんは振り込め詐欺を疑った。話を聞くと、女性は数日前にも別の金融機関で1200万円を引き出して、特殊詐欺の被害に遭っていたことが分かった。

 藤田さんは「とにかく現金を用意して」とかたくなに引き出しを求める女性を根気強く説得し、同支店からのホットライン通報で駆け付けた警察官に付き添われて女性は帰宅したという。

 同署によると女性の元には息子を名乗る男から虚偽の電話がかかってきていたという。藤田さんは「今後も高額引き出しの場合は一件一件確認して注意したい」と話した。

 同署の作田隆志署長は「なかなか説得に納得してくれない人もいる中で、声を掛けて被害を止めてくれた」と功労をたたえた。

 同署管内では今年1~8月末までで38件の特殊詐欺被害が発生。被害額も8千万円を超えており、同署で引き続き注意を呼び掛けている。

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