埼玉新聞

 

“埼玉人気”今も健在、都会と田舎の境界線は 切り込んだ「地球の歩き方“埼玉版”」誕生 情報量が圧倒的

  • 「一家に一冊常備してほしい」と話す地球の歩き方編集部の金子久美さん=東京都品川区

    「一家に一冊常備してほしい」と話す地球の歩き方編集部の金子久美さん=東京都品川区

  • 「一家に一冊常備してほしい」と話す地球の歩き方編集部の金子久美さん=東京都品川区

 海外旅行のガイドブックとして有名な「地球の歩き方」。コロナ禍をきっかけに始まった国内シリーズの第8弾として「埼玉版」が刊行された。全63市町村を網羅し、絶景、グランピング、季節の花、川越…といった最新から定番まで、600件以上のスポットを掲載した埼玉ガイド本の集大成。担当者は「埼玉県の魅力を再発見し、お出かけに使ってほしい」と話す。

 国内シリーズは2020年秋からスタートし、これまでに東京、京都、沖縄、北海道版を刊行。そんな中、なぜ「何もない」といわれる埼玉が割と早い8番目なのか。地球の歩き方編集部の金子久美さん(53)によると、同社では、昨年3月に「東京・多摩版」を出版したところ、予想外の反響で、身近な場所への関心の高まりを感じたからだという。さらに「埼玉はメディアに取り上げられる機会も多く、県民愛が強い」ことも後押しした。

 埼玉版は約500ページ。片手で持てばずしりとくる、情報量の多さが最大の特徴。ページ数の4割程度を占める「エリアガイド」では、神社や博物館など市町村ごとの見どころが一挙に並ぶ。また各地の交通手段を分かりやすく説明しているのもポイントだ。巻頭では人口、面積、主要メディア(埼玉新聞、テレビ埼玉、FM NACK5)など基本情報を収録している。

 蓮田市在住の金子さんら埼玉に縁のあるスタッフ約10人が取材し、1年半かけて制作。金子さんが改めて気付いた埼玉の魅力は「都会と自然の程よいバランス」。そのため、「気軽に行ける自然・癒やし」をテーマにしたモデルプランを充実させた。秩父の雲海、狭山丘陵の里山を楽しむ散歩ルート、荒川サイクリングロードなどを特集している。

 ユニークなのは、「山田うどん食堂」「るーぱん」をはじめとする埼玉発祥チェーン店を紹介するコーナー。知っているようで知らない店の歩みや人気メニューを深堀りしている。金子さんは「私にとって『るーぱん』は青春の味。なじみのある味や店に愛着を持つ県民は多いはず」と企画の意図を語る。そのこだわりは巻末の「別冊マップ」にも生かされ、観光スポットとともにこれらチェーン店が地図上に記されている。

 「国道16号線は都会と田舎の境界線?」や「ダサイタマ」についてのミニコラムや地形の説明など埼玉の文化・歴史を簡潔にまとめた「読み物」としての一面も。旧石器時代から現代までの埼玉の出来事をまとめた年表は、県民の心をくすぐってくる。

 税込み2200円。全国の書店で販売。
 

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