埼玉新聞

 

<熊谷小4ひき逃げ>誰のため…母親、時効撤廃を求め署名提出 ネットと街頭で約3万人分の署名集まる

  • 時効撤廃の署名を提出する小関孝徳君の母親(右)=28日午後、東京都千代田区の法務省(提供写真)

 熊谷市で2009年、小学4年の小関孝徳君=当時(10)=が死亡した未解決のひき逃げ事件で、孝徳君の母親が28日、公訴時効の撤廃を求める嘆願書と署名を山下貴司法相宛てに提出した。時効まで3カ月を機に集め始めた署名は2万9443筆に上る。

 母親は「皆さんから情報提供が求められている以上、犯人をずっと捜し続けたい」と訴えた。今後、母親は交通犯罪の時効撤廃を求めるとともに、時効が20年の危険運転致死罪への罪名変更を県警に要請する方針。

 孝徳君は09年9月30日、自転車で帰宅途中に事故に遭った。孝徳君をはねた車は逃走し、事件は未解決のまま16年に道交法違反(ひき逃げ)の時効が成立。自動車運転過失致死罪(当時)の時効も9月30日に迫っている。

 「事故の状況は犯人にしか分からないのに、なぜ初めから過失致死罪・時効10年と決めてしまうのか。時効は誰のためのものなのか」。

 制度に疑問を持った母親は今年6月、インターネット上に署名サイトを開設。道交法違反(ひき逃げ)と自動車運転過失致死罪の時効撤廃を訴え、街頭で行う署名活動と合わせ、約3万人分の署名が集まった。

 法務省への提出の約1週間前には、警察庁にも時効撤廃を求める意見書を送付。「時効があるから『逃げ切れるかもしれない』という考えが生まれる。逃げ得を認めない社会になってほしい」と力を込める。

 法務省への署名提出後、母親は報道陣の取材に「ひき逃げ事故は、逃げてしまっている以上、過失運転だったのか、危険運転だったのか、もしくは殺人という行為なのか分からない状態だと伝えた。罪名変更の件は、県警の許可が下りれば可能と言われた」と説明した。

 母親は、時効20年の危険運転致死罪への罪名変更を求める嘆願書を県警に提出する予定。

 最後に、「情報がある以上はこのまま時効を迎えるわけにはいかない。皆さんからの情報が一番重要なので、一人でも多くの方に情報提供してほしい」と訴えた。

 母親はブログ「《未解決》熊谷市小4男児ひき逃げ事故!《時効まであとわずか》」などで情報提供を呼び掛けている。

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