埼玉新聞

 

【東京ウオッチ】情緒のある木挽町から世界市場へ足がかりを―8代目が紡ぐ老舗のイノベーション いまのTokyoをつかむイベント情報 (7日~15日)

  •  松崎商店の「大江戸松崎 三味胴(しゃみどう)」(提供写真)

     松崎商店の「大江戸松崎 三味胴(しゃみどう)」(提供写真)

  •  松崎商店(松崎煎餅)の松崎宗平社長(提供写真)

     松崎商店(松崎煎餅)の松崎宗平社長(提供写真)

  •  カカオニブとチョコレートを練り込んだ「大江戸松崎 黒格子」(手前)と、あんこをのせたかき氷「絹どけ氷」。「MATSUZAKI SHOTEN」で、11月から土日月曜限定で提供(提供写真)

     カカオニブとチョコレートを練り込んだ「大江戸松崎 黒格子」(手前)と、あんこをのせたかき氷「絹どけ氷」。「MATSUZAKI SHOTEN」で、11月から土日月曜限定で提供(提供写真)

  •  大型映像の前でMESのパフォーマンス=PARCO MUSEUM TOKYO(提供写真)

     大型映像の前でMESのパフォーマンス=PARCO MUSEUM TOKYO(提供写真)

  •  エスパス ルイ・ヴィトン東京での展示風景(2026年、Photo credits:(C)Louis Vuitton)(提供写真)

     エスパス ルイ・ヴィトン東京での展示風景(2026年、Photo credits:(C)Louis Vuitton)(提供写真)

  •  松崎商店の「大江戸松崎 三味胴(しゃみどう)」(提供写真)
  •  松崎商店(松崎煎餅)の松崎宗平社長(提供写真)
  •  カカオニブとチョコレートを練り込んだ「大江戸松崎 黒格子」(手前)と、あんこをのせたかき氷「絹どけ氷」。「MATSUZAKI SHOTEN」で、11月から土日月曜限定で提供(提供写真)
  •  大型映像の前でMESのパフォーマンス=PARCO MUSEUM TOKYO(提供写真)
  •  エスパス ルイ・ヴィトン東京での展示風景(2026年、Photo credits:(C)Louis Vuitton)(提供写真)

 ◎今週の一推しトピック

 ▽「松崎商店、新拠点で和菓子のモダンな価値創出」(中央区銀座)

 1804年に芝魚籃坂で創業、1865年に銀座へ店を移した松崎商店(松崎煎餅)。8代目の松崎宗平社長は、220年以上の歴史を紡いできた老舗せんべいの味を守りつつ、生活を彩るモダンな発信拠点の創出を試みている。

 長く本店を構えた並木通りで親しまれたが、コロナ禍で「目的がなければ誰も来ない街」と痛感した経験を基に、小さな店がひしめき合い情緒のある木挽町(東銀座)へ、5年前に本拠を移転。今年オープンした現在の店の奥には、キッチンカウンターやDJブースを置き、老若男女がおしゃべりや音楽を楽しめる空間「MATSUZAKI SHOTEN」を設けた。

 意外な試みと言われたが、歴代のトップたちも付加価値のイノベーションを重ねてきた。松崎社長は「明治時代の本に高祖父が、当時のせんべい店では珍しかった人々の交流の場を設けていた記録を見つけ、革新の精神のDNAに面白さを感じた」と語る。

 デザイナーの経験があり、ビジュアルの重要性を熟知。職人が焼き印や砂糖蜜で四季折々の絵柄を描く瓦煎餅「大江戸松崎 三味胴」に、新たなデザインを展開する。音楽活動にも熱心だ。同じ40代の、もなかで知られる銀座の老舗和菓子店「空也」の山口彦之社長らと一緒に、10年前からDJイベント『アンコマンないと』を開催しているのは「和菓子の“きちんと感”をさらに広げるため」という。

 祖母や父から言われていた「一枚一枚心を込めて手を抜くな」という言葉を大切に、時代に合わせた美しい商品やパッケージをどうデザインしていくかが常に課題という。

 銀座の店舗から見据えるのは世界市場への挑戦。フランス視察の際、伝統と革新を尊重する精神が根付く欧州との相性の良さを肌で感じた。「せんべいはラーメンやすしと違って世界進出が難しい。僕の世代で、その足掛かりだけはつくっておきたい」

 ○そのほかのお薦めイベント

 【7日(土)】

 ▽「MES個展『レイ/REI』」(~16日、渋谷区、入場無料)

 新井健さんと谷川果菜絵さんによるアーティストデュオ「MES(メス)」が、にぎわう渋谷の街に隠された歴史を浮き彫りにする個展を、渋谷パルコ4階の「PARCO MUSEUM TOKYO」で開催している。

 会場の近辺には、軍国主義の時代から敗戦後の占領期の痕跡が点在する。2人は多様なメディアを駆使し、身体パフォーマンスも交えて“若者の街”の歴史の深層にアプローチした。

 NHK放送センターの向かい側に立つ、二・二六事件慰霊の観音像を映した大型映像。事件の支柱とされた北一輝らの私的な儀礼を、抑えた動きで身体表現する新井さんは「国旗損壊罪なども成立した現在、当時の戦争に向かう空気を見つめ、個人の身体から国や平和とは何かを問いたい」と語る。

 代々木公園内のおしゃれなカフェは、1964年東京五輪の前まで、広大なワシントンハイツ(米軍用地・住宅地)内の米軍住宅の一つだった。現在の建物をサーモグラフィーカメラで捉えた映像は、独特の画調で敗戦直後の渋谷へタイムスリップする。「この街が米軍占領下で発展してきた事実を忘れてはならないと思う」と谷川さん。

 2人は東京芸術大生の頃から、VJ(ビデオジョッキー)として渋谷の人気クラブで活動したが、深夜に店内照明を明るくするよう規制した2016年の風俗営業法改正で、クラブは深夜営業できなくなった。店内で行っていたレーザー照射を屋外へ持ち出し、街中のビル外壁や路地裏にメッセージを映し出した写真シリーズには「薄暗さが育てたクラブカルチャーへの無理解」に対する抵抗を込めたという。

 渋谷区役所隣にある地上約3・8メートルのモニュメント「平和の鐘」に、2人が身体を重ねて手を伸ばし、高らかに打ち鳴らす映像作品「誰が為に鐘は鳴る」も。「にぎわいの中で戦争と平和の在り方を考えさせる街。スクランブル交差点でのデモなど常に新しいことも起きている。作品を通してさまざまな角度で平和を希求したい」と2人は話した。

 ▽「ルイ・ヴィトンの『居場所』プログラム」(~27日、渋谷区)

 表参道にあるアートスペース「エスパス ルイ・ヴィトン東京」で、「居場所」をテーマに現代の創造を促進するプログラム「InSitu2―Ibasho」が開催されている。

 同プログラムは、忙しい都市に生きる人々の“居場所”をつくり出す試み。若手建築家コレクティブ「GROUP」のデザインにより、木製の巨大なテーブル、椅子などを設置、その下に来場者が自由に過ごせる空間が構成された。

 巨大テーブル下の畳スペースには、特製の折り紙を置いた机を用意。子どもたちが折り紙をしたり、自分の思いを鉛筆で書いたりして遊べる。ミヒャエル・エンデ「モモ」やヴィクトール・フランクル「夜と霧」などを本棚に並べ、あらゆる世代がわが家のようにくつろぎながら読書に没頭できるコーナーも。時間や空間の豊かさを体感できる場となっている。

 【15日(日)】

 ▽「自分のモヤモヤから考えるジェンダー入門講座」(14時、港区、事前予約制、参加費無料)

 ジェンダーにとらわれない社会を目指す「男女共同参画社会基本法」の制定から27年。同法制定の頃に生まれ、現在は仕事や子育て、生き方などに悩む世代のためのイベントが、港区立男女平等参画センター(リーブラ)で行われる。

 講師は東京大准教授の中野円佳さん。日常生活やキャリアの選択で知らず知らずのうちに影響を受けている性別の決めつけや、社会の仕組みについての“モヤモヤ”を、講義とワークショップを通じて参加者と共にひもといていく。

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