埼玉新聞

 

またミス…送迎バス、児童を降ろし忘れる 30分早く運行するも、共有マニュアル無視 異変に気付いた親

  • 【地図】毛呂山町

 埼玉県教育局は11日、県立毛呂山特別支援学校のスクールバスで、下校時に小学部の児童1人を降ろし忘れるミスがあったと発表した。保護者からの連絡を受け、営業所へ向かう途中に乗務員が寝ている児童を発見した。児童の健康状態に問題はないという。

 同局特別支援教育課によると、バスは10日午前11時40分ごろ、同校から児童生徒11人を乗せて出発。鶴ケ島市の最終バス停に予定より約30分早く到着し、該当の児童1人を除く児童生徒2人を保護者に引き渡した。入間市の事業所に戻る途中、乗務員が後ろから3列目の席で眠っている児童を発見。午後1時35分ごろ、バス停に引き返して保護者に児童を引き渡した。

 同局は昨年10月、別の県立特別支援学校で登校時のスクールバスから生徒1人を降ろし忘れたミスを受け、安全確認マニュアルを各校に通知。全ての児童生徒を降車させたかを乗務員が車内点検し、乗降車時に人数と氏名を確認することなどが決められていたが、いずれも実施されていなかった。同日は始業式で、該当の児童は初めてバスを利用していた。

■安全対策が一部で未実施

 10日に県立毛呂山特別支援学校のスクールバスが児童1人を降ろし忘れたことを受け、大野元裕知事は11日の定例会見で、昨年12月までの点検や調査において特別支援学校や保育所、認定こども園、障害児通所施設の一部で、引き渡し時の名簿確認や点呼、バス事業者への周知などの対策をしていなかったと明らかにした。昨年10月に県立騎西特別支援学校でも降車確認漏れが発生したことを踏まえ、「安全管理の徹底が叫ばれているところ、このような事案を再び発生させてしまったことを大変重く受け止めている」と述べた。

 県は、昨年9月に静岡県内の幼稚園で発生した送迎バスの置き去りによる園児の死亡事件を受け、同月に緊急総点検、12月までに実地調査を行った。

 県教育局特別支援教育課などによると、特別支援学校でバスを利用する34校中11校が引き渡し時の名簿確認などをしていないことが分かった。

 点呼忘れなどが確認された保育所、認定こども園は計11施設。障害児通所施設は送迎時、延べ18施設が昨年9月のアンケートで「確認を行わない、しないことがある」と回答した。幼稚園は全ての園で確認できた。

 置き去り防止のための安全装置は、10日時点で特別支援学校の全288台のうち13台に設置。障害児通所施設は40台、幼稚園、幼稚園型認定こども園は55園の設置を確認した。安全装置は4月からの設置義務化に伴い、施設や市町村に対し6月末までの全台設置を働きかける。

 大野知事は再発防止への措置として、総点検、調査の取り組み▽ヒューマンエラー防止▽安全装置の設置を挙げ、「全ての施設を対象に、三つのレベルで措置を講じる」とした。
 

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