【NEOインタビュー⑮】CHICACU 自分と向き合える本屋 埼玉県さいたま市大宮区
ミステリー、人文書、占い―。「本と喫茶 夢中飛行」の本棚には、区画ごとに個性あふれる本が並ぶ。開業3周年を迎え、本棚オーナーの数は目標の100人に達した。老若男女問わず、東京や群馬、栃木に住む人も。大宮の地の利を実感している。
本屋に興味を持ったきっかけは出版社のデザイン部で勤務し、返本率の高さに「売り方を考えないと、この状況から脱せない」と感じたことだった。その後、書籍のデザイン事務所での勤務、ローカルメディアやさいたまトリエンナーレといった市民活動を通して、細部や裏側まで削ることなく伝える大切さを感じるとともに、地域への愛着も深まった。
2019年に地元・さいたま市に戻ると、デザインの仕事をしながら、4畳半の自宅リビングを開放して土曜日だけの本屋「CHICACU Bookstore」を開店。「チカクを探求する書店」をスローガンに、人文やデザイン、建築などの本を並べた。
今も記憶に残るお客さんの言葉がある。「ここでは社会で与えられた役割でなく、私が私でいられる」。本屋は自分自身と向き合える場所だと気付くと同時に、「いつも来てくれるあの人たちに本棚を持ってほしい」と感じたことがシェア本棚事業につながった。
自由さと程よい距離感を保ちながら、一つの空間をみんなでつくる。当初思い描いていたことを実現できている一方、地域とのつながりを今後の課題に挙げる。「盛り上がりを一過性にしないためにも、街ににじみ出ていくような活動をしたい。第二創業期だと思っています」
◆私を支える「2冊の本」
「趣味本屋、本業本屋」。そんな直井さんにとって特に印象に残っている2冊がある。
一つは「あなたが世界を変える日」。1992年にブラジル・リオデジャネイロで開催された国連地球環境サミットでの12歳の少女のスピーチを絵本にしたものだ。「純粋に『大事なものを大事に』というスピーチが良かった。自分の骨格となっている」
もう一つは宮崎駿さんの「本へのとびら」。児童文学は、生まれてきて良かったんだと子どもに伝えるために存在するという内容に納得した。一方で「ファンタジーが書けない時代になったとあり、ファンタジーに救われてきた自分にとってはショックだった。それで良いのかなとずっと思っている本」とも語る。








