埼玉新聞

 

<知事選>大野元裕氏が初当選 県民、上田県政の継承選ぶ 上田知事や野党4党が支援、与野党対決制す

  • 初当選が決まり、支援者らと共に万歳して喜びを分かち合う大野元裕氏(中央)=25日午後10時15分ごろ、さいたま市浦和区高砂の事務所

 任期満了に伴う知事選は25日投開票され、立憲民主党など野党4党と退任する上田清司知事が支援する前参院議員の大野元裕氏(55)が、自民、公明両党が推薦するスポーツライターの青島健太氏(61)、NHKから国民を守る党公認で医師の浜田聡氏(42)、元高校教諭の武田信弘氏(65)、元会社員の桜井志津江氏(63)の4人を破り、初当選を果たした。県民は上田県政の転換を訴えた青島氏ではなく、継承、発展を強調した大野氏を選択した。

 参院選後初の大型選挙。16年ぶりの新人同士による選挙戦は大野氏と青島氏の与野党対決、事実上の一騎打ちとなり、激しい選挙戦が展開された。

 参院議員を9年務めた大野氏は「今までの16年間を後戻りさせてはならない。県民重視、県民を主題にした施策でさらに発展させる」と、全面的な支援を受けた上田氏の県政の継承、発展を強調。少子高齢化対策や健康、子育て、災害・防犯、都内からの鉄道延伸など12分野128項目の政策を提示し、「日本一暮らしやすい埼玉を実現する」と主張した。

 立民、国民民主、社民、共産の各県組織が支援して「非自民」の結集をアピールし、「無所属県民党」を掲げて無党派層の取り込みを図った。中央からも党代表らが来援し、祖父が市長を務めて支持者の多い地元川口市などでは自民支持層にも食い込んだ。

 青島氏は元プロ野球選手の経験から、熊谷市などで開催されるラグビーワールドカップ(W杯)や20年の東京五輪・パラリンピックを契機にしたスポーツをはじめ、文化や芸術の振興を強調。子どもの教育の充実、インフラ整備による「県土強靭(きょうじん)化」などを掲げ、「県政をダイナミックに変え、新しい埼玉をつくる」と、上田県政の転換を訴えた。

 県内国会議員や県議だけにとどまらず、前回の知事選では自民候補を推薦しなかった党本部も政治、行政経験のない青島氏を手厚く支援。公明とのパイプの太い菅義偉官房長官や自民の二階俊博幹事長ら政権幹部が来援し、テコ入れを図る総力戦で臨んだが、及ばなかった。

 浜田氏は受信料を払う人だけが、NHKを視聴できるようにするスクランブル放送の実現、武田氏は地熱エネルギーの活用、桜井氏は「安心・安全・安穏の埼玉」などを訴えたが、届かなかった。

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