埼玉新聞

 

ごめんね…10歳の息子に謝り続ける母 小4死亡ひき逃げ、未解決のまま17年 時効まで残り3年 2台以上の車が関与か 「後悔だけはしたくない」時効撤廃を訴え

  • 情報提供を求めるポルトガル語と英語のチラシを手に、犯人逮捕への願いを語る母親=熊谷市内

    情報提供を求めるポルトガル語と英語のチラシを手に、犯人逮捕への願いを語る母親=熊谷市内

  • 【地図】熊谷市

    熊谷市の位置

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 埼玉県熊谷市で小学校4年生の小関孝徳さん=当時(10)=が車両にひき逃げされ死亡した未解決事件は、30日で発生から17年を迎える。時効成立まで3年。孝徳さんの母親は、犯人逮捕を願って情報提供を求める活動を続けながら、死亡ひき逃げ事故の時効撤廃を繰り返し訴えている。

 事件は進展がないまま、さらに1年を重ねようとしている。「もう時間がない。最近、私のやり方が正しかったのだろうかと、よく考えてしまう。孝徳にはいつも、『ごめんね』って謝っている」と母親。言葉の端々に、焦りと無力感がにじむ。

 事件は2009年9月30日午後6時50分ごろ、熊谷市本石1丁目の市道で起こった。孝徳さんは書道教室を終えて自転車で帰宅する途中、車両にはねられて死亡。県警は道交法違反(ひき逃げ)罪の時効が成立した16年以降も自動車運転過失致死罪で捜査していたが、10年の時効が目前に迫った19年9月、罪名を危険運転致死罪へ変更した。時効は20年に延長。県警は2台以上の車が関与した可能性があるとみて、調べている。

 母親は孝徳さんの同級生の母親たちの協力も得て、現場を通過する車のナンバーを記録。現在は行っていないが、延べ約10万台の情報を県警に提供した。犯人逮捕を目指して、さまざまな活動に取り組むうち、死亡ひき逃げ事故に時効があることに疑問を抱くようになる。母親は時効撤廃を求める署名活動を18年から始め、19、21、23、25年の4回、法務省に嘆願書と署名を提出した。

 国は悪質な運転の交通事故が後を絶たないことを受けて自動車運転処罰法を改正し、7月21日から危険運転致死傷罪の要件を明確化。最高速度が時速60キロ以下の道路では50キロ以上の超過、飲酒の場合は呼気1リットル当たりのアルコール濃度が0・5ミリグラム以上で適用するなど、数値基準を設けた。一方、死亡ひき逃げ事故については、時効撤廃などの変更は行われていない。

 母親は法改正について「数値基準を付けるだけでは、むしろひき逃げ事故が増えるのではないか」と不備を指摘。「事故が起きた時、逃げずに対応すれば助かる命が失われるケースが増加してしまう」と懸念している。

 情報提供を呼びかける活動では、うれしい協力もある。熊谷市内にはブラジルなどの外国人が多く住む群馬県から来るドライバーがいるとして、母親はこれまでもポルトガル語や英語に翻訳したチラシを配布してきた。新たに茨城県の男性がチラシの追加製作を申し出てくれ、作り直した版を日本語を含めて計1万2千枚印刷。今年から、改定版を群馬県太田市内で配っている。配布を手伝ってくれる同市の住民も現れた。母親は「助けてくれる人たちがいるから、頑張ってこられた」と感謝する。

 名古屋市で1999年に起きた殺人事件で、26年後の昨年になって容疑者が逮捕されるなど、年月を経て解決する事例に接するたび、母親は希望を抱くという。「技術の進歩で分かることもあるし、担当捜査員が代われば別の角度から調べてくれる」と母親。孝徳さんの事件でも、可能性を感じている。だからこそ、時効撤廃を訴える活動はやめられない。

 これまでに集めた署名は、約19万筆に達した。母親は今年も、嘆願書を提出するつもりだ。「これからは春と秋、年2回届けようと考えている。後悔だけはしたくないから」。孝徳さんへの深い愛が、母を支えている。

 情報は熊谷署(電話048・526・0110)または、母親のブログ「《未解決》熊谷市小4男児死亡ひき逃げ事件!」(https://ameblo.jp/kosekitakanori/)へ。

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